2017年7月 4日 (火)

バローロ伝統主義を守りつつ、常に自由を忘れないMaria Teresa  

イタリア語版 ITALIANO

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Cantinaの歴史は曾祖父Bartolomeo Mascarelloに始まる。当時バローロ組合で働いていたが、1900年初め頃戦争などの理由で閉鎖となり、祖父Giulio氏に知識ノウハウを引き継いだ。1917年祖父はカンティーナを開き醸造を始める事となる。父Bartolo Mascarelloは7~8歳の頃から畑の仕事を見て育った為祖父Giulioから無理なく引き継がれ、この世界に入っていった。Bartoloはこの価値ある土地に生まれたことに誇りを持ち、時代背景もあってGiulioとは異なるリズムでBarolo造りを継承した。

『土壌(畑)がすべての根源である。』

基本的に器具は祖父の時代から受け継いだものを使用しているが、改善のために、昨年秋ソフト圧搾機を導入したり、地球温暖化によってこのカンティーナの温度も発酵時期に上昇気味の昨今、発酵温度調整する器具(scambiatore di calore a fascio tubiero)を使用する。父親の頃はカンティーナは冷え過ぎて暖房をつけていた事もあったそうである。それから、ボトリング、ラベル貼り機は機械化したが後は昔のまま。ボトリング、ラベル貼り機は実際近くの親戚のカンティーナと兼用しているという。確かに1年の内2週間しか使用しないものである。

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セメント タンクは表面を磨いたそうで真っ白。後は内側に樹脂を塗れば準備が整う。

Baroloの醸造においては発酵が終わった後、ブドウの状態によって30日~50日間マセラシオンする。若いブドウであれば短い期間、健康で良く熟したブドウであれば長い期間といった具合に。

『毎年 ATTENTO! 注意』

  熟成:フレイザ、ドルチェット:9か月

     ランゲネッビオロ、バルベラ:2年

     バローロ 3年  +1年 瓶熟成

     7月終わり頃ボトリング、1年後の9月に晴れて出荷となる。

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イタリアの伝統を継承し、4つの畑から収穫されたブドウを一緒に醸造を行う。つまり一種類のBaroloが出来上がる。

ブルゴーニュでは、Cru、単一畑のブドウのみで造る為、畑毎のワインが出来上がる。

しかし昨今フランスの伝統であるCruは人気があり、値段もより高くなる。

『マーケティングは勉強していない(私の仕事ではない)』

カンヌビの畑は南向きで砂質(sabbioso)であり、余り暑い年は苦手である。4つの畑があると、バランスよくその年のバローロが出来る利点もある。

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Menzione Geografiche Aggiuntiva 

2010年にバローロのラベル表示の規定が変わったことで、彼女のワインはランクが一番下になったという。つまり、トップはCru単一畑を記載しているBarolo, Cruを記載するためには必ずその畑が位置するComuneを記載する必要がある。

よって、Bartolo Mascarelloの場合、4つの畑のうち3つはComune di Barolo,

1つはComune di La Morra。2つのComuneがある為、記載不可となり、単にBaroloという記載になる。

2009年迄は、伝統的に4つの畑をラベルに記載していたが、規則によって変更を強いられることは悲しい。

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『バリックは単なる Moda del mondo 流行。』

1980年代 Barolo boysの革新によってバリック使用が始まる。消費者に大変好評を得て、多くの生産者が続いてバリックを使用するようになる。

今2017年 伝統主義に回帰する傾向がある。

『私は元からずっと伝統主義。伝統とは文化の歴史と人生経験。』

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このカンティーナの奥に年代毎に保管されている。1955年というおそらく一番古いヴィンテ―ジがあった。

もうひとつ興味深いのが Bartolo Mascarello自作のラベルである。

彼は65歳の時、醸造の仕事が身体的に難しくなり、ある時遊び半分でデザインを描き始めた。ところが、これが人気を呼び、コレクターも現れる程である。

オリジナルのラベルはカンティーナに保管され、販売用はコピーとなるが、とにかく限定数である。実は彼はとても冗談が好きで、皮肉を込めた風刺が得意であった。

これは家族全員がそうだったようで、Maria Teresaもその血を受け継いでいる。よって、文中の『』の言葉は彼女の直球な発言から選んで挙げてみた。

『小さい生産者だからこそ言動の自由がある。大きな生産者であれば、売上に響く為、お客様に同情しないといけないでしょう、でも小さければ私達を好きなお客様が居れば十分なのよ。政治的な事であっても明言できる。』 

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有名なラベル(Etichetta)のひとつに,[NO BARRIQUE NO BERLUSCONI]がある。

『ベルコーニの友達や支持者は絶対買いに来ないわね。』

実はインタビューの間に、突然ある紳士が尋ねてきて、2年前に買いに来たのだが、また少し入手したいという。Teresaは見覚えのある顔だといって、思い出そうと台帳を見るが見当たらない。話を辿っていくと、どうやら数人のグループでバローロに関する仕事(趣味?)をしている。今では少し離れて暮らすが子供の頃は近くに住んでいて、この土地の変わり様を語り始めた。沢山の木々、自然があって家族がいくつか集まって外で食事をよくしたそうだ。また、Bartoloのワインのファンであり2010,2011年のEspressoで批評された時があったが、その後プレミオ受賞してから一機に見直された話までしていた。そんな会話が進むと、Teresaは初めは全て予約で完売だと言っていたのだが、4本ならといって用意し始めた。彼はとても紳士であった。

とまさに’’Bartolo Mascarelloのお客様’’に遭遇する機会に恵まれた。

『お客様にも Storico 歴史がある』

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さて、ラベルの話に戻すと、もうひとつ素敵なのは女性に例えて描いたもの。

左のラベルはTRADIZIONALI 伝統的なクラシックな装いの女 (修正を加えていない)、右のラベルはBARRICATE 化粧や装いがモダンな女(バリックやMacchia(化粧⇒修正した)の言葉遊びが面白い)

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Bartolo 氏は2005年に他界している。そこから彼女は1人の寂しさを時に感じるという。

『問題は常にある。』 とりわけ自然は読めない為、苦難である。

 mi manca Padre...   問題があれば必ず、亡き父と心で話している。

2002年、2016年の雹

2014年 雨が多く、育てるのに困難を要した。

試飲させて頂いたのはLanghe Nebbiolo 2014 

2014年は夏に雨が多く、病気や雹も2回

結局選ばれたブドウは通常の30%~50%減だった為、ワインの生産量も少ない。

ところが苦労して造った反面、フレッシュな酸度のしっかりしたワインに仕上がった。 フルーティ、若い、酸がある、アルコールが低い。

『飲み易さも重要である。』

Barolo 2012   この年は天候は標準的でタンニンも繊細、よりエレガントなワインに仕上がった。

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マリアテレーザは多忙にも関わらず、私の願い通り畑に連れてって下さった。

今年植樹してから70年経つ、San Lorenzoの畑はサイクルとして、2年間の休憩が必要である。このお休みの間の2015年~2年間は Bussia のブドウを代わりに使用している。

よって、この2年間のワインはこれまでと一味違うはずである。

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畑は合計約5ヘクタール。Comune di Barolo(バローロ村)の中にカンヌビ、サンロレンツォ、ルエ、それから、Comune di La Morra (ラ モッラ村)にロッケ ディ アンヌツィアータと分かれて所有。

La Morra (Annunziata)には生家があり、今従妹がやはりワインを造っている。

バローロは15~20,000本、ランゲネッビオーロは2~3000本、その他生産しており、品種はネッビオロの他ドルチェット、フレイザ、バルベーラ。

『収穫はSorpresa!(驚き)』 

通常は9月中旬にドルチェット、それからフレイザ、バルベーラ、一番最後にネビオロ。

ここ15年の気候の変化に毎年決まった時期とは言えなくなっている。

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カンヌビの畑は南向きで砂質(sabbioso)であり、余り暑いと苦しむ。

彼女は小柄で華奢だがピョンピョン跳ねるように畑を上っていく。遠くから見ると緩やかな丘であるが、いざ中に入ると結構な傾斜である。

ここで 直ぐ側にあるカンティーナ Marchesiが過去にCruの名声を手に入れる為の画策があった事実を恥ずかしい話だと言う。

この写真はちょうどカンヌビであるが、ちょうどそれを取り巻くようにMachesiの畑がある。それらの広い畑もカンヌビと呼べるよう許可を申請したのだ。裁判で初めはカンヌビの生産者達の控訴で、却下されたのだが、2度目には勝訴し、カンヌビとラベルに記載が認められた。

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ブドウの木を結ぶのは柳を使って自然を意識している。

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畑はAnfiteatro 半円形の劇場型に南向きに拡がっている。

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  黄色いミモザが色鮮やかに咲いていた。やはり女性Teresaさんを垣間見る。

la data di visita: il 30 Marzo 2017

Kyoko Matsuyama

2017年6月25日 (日)

6月のIVS Japan LTTは第3週の17日(土)に開催致しました。

ご参加頂きました皆様ありがとうございました。

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【テーマ】:ALTOLIVELLOxIL FURLO

1番のワイン

生産者  フォッソ コルノ社(FOSSO CORNO)

所在地:アブルッツォ州 ロゼート デッリ アブルッツィ

フォッソコルノのオーナーであるビスカルド家は、ドイツ市場向けにイタリアワインの紹介をするエージェント業を、代々の生業としてきました。
現オーナーのマルコ氏が、自らがワインビジネスで培ってきた経験に基づき、本来あるべきワイナリーの姿勢と方向性を考え、日常の生活に密着した、素直に美味しいと思えるワインを造り出すことを決断します。そして、2001 年にアドリア海とアペニン山脈の丁度中程に在る丘陵地に、10ha程の畑を購入。
土壌調査を行い、所有地に最も適したクローンのモンテプルチアーノ種に植え替え、少量のワイン造りから始めました。現在では 30ha の自社畑から、モンテプルチアーノと少量の白ワインを生産しています。

2番目以降のワイン:

生産者 モンキエロ カルボーネ(MONCHIERO CARBONE)
所在地:ピエモンテ州・カナレ

ピエモンテのワイン産地は、バローロやバルバレスコのあるランゲ地区が有名ですが、モンキエロカルボーネのあるロエロ地区は、優しいタンニンと柔らかい果実味が特徴のイタリアでも最も注目されているワイン生産地域の一つです。
オーナーのマルコはアルバ醸造学校を卒業後、ウンブリア州に移り住み、そこを拠点としてイタリア各地の著名ワイナリーのコンサルタント醸造家として大活躍をしました。
1990年代初頭、生まれ育ったカナレへ戻り、自分の考えを具現化するため自身のワイナリーを設立、現在は後継者である息子フランチェスコと共に、ブルゴーニュをイメージさせる上品で繊細なワイン造りをしています。フランチェスコはイタリアの若手醸造家として非常に注目されていて、ガンベロロッソ誌でも頻繁に取り上げられています。

2005 年よりロエロがDOCG に昇格。ネッビオーロからのロエロロッソ、土着の白ブドウ・アルネイスから作られるロエロアルネイスと、今後の飛躍が期待される注目エリアの中心的ワイナリーです。

※ALTOLIVELLO社のホームページよりの資料

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【ワインリスト】

①ワイン名:チーマビアンカ   2016  人気度(7/23名)
メーカー:フォッソコルノ社
産地:アブルッツォ州
ブドウ品種:シャルドネ50%・ソーヴィニヨン50%
醸造:丘陵地の寒暖の差を活かしたぶどうを9月上旬に収穫、ステンレスタンクで発酵、そのステンレスタンクで熟成 12.5%
特徴:輝きのある緑がかったレモンイエロー。柑橘の香、芝生、レモンの皮の香り。
   爽やかで活き活きとした酸とフレッシュな果実味、塩味のミネラルを持つ白ワイン。
料理:食前酒、魚介のマリネ、シーフードパスタに合わせる。


②ワイン名:ランゲ ファヴォリータ 2016  DOC  人気度(12/23名)
メーカー:モンキエロ カルボーネ社
産地:ピエモンテ州
ブドウ品種:ファヴォリータ 100%
醸造:砂質土壌のロエロの畑から9月中旬にぶどうを収穫、ステンレスタンク発酵、そのステンレスタンクで熟成 12.5%
特徴:輝きのある淡いレモンイエロー。柑橘系の香り、オレンジの皮の香りや黄色の花の香り。
   味わいは心地よい果実味とキレのある酸とのバランスが良く、塩味もあり、後味に苦みを感じるフレッシュな辛口白ワイン。
料理:ミネストローネ、魚介類、鶏肉のサラダに合わせる。


③ワイン名:ロエロ アルネイス レチット 2015 DOC  人気度(17/23名)

レチット(Recit)とは、小さな王様の意味

メーカー:モンキエロ カルボーネ社

産地:ピエモンテ州
ブドウ品種:アルネイス 100%
醸造:砂質土壌のロエロの畑から9月下旬にぶどうを収穫、ステンレスタンク発酵、そのステンレスタンクで熟成。13.5%
特徴:輝きのあるレモンイエロー。白桃の香り、蜜蝋、白い花の香り、ミネラルもある。
   豊かな果実味と酸味、塩味のミネラルが感じられ、苦みやふくよかな骨格のある辛口白ワイン。
料理:バーニャカウダ、トリッパの白ワイン煮込みに合わせる。


④ワイン名:バルベラ ダルバ ペリーザ  2014 DOC  人気度(15/23名)
メーカー:モンキエロ カルボーネ社
産地:ピエモンテ州
ブドウ品種:バルベーラ 100%
醸造:10月上旬にブドウを収穫。ステンレスタンクで醗酵。70%はステンレスタンクで熟成、残りの30%を2、3年樽のバリックに入れて12ヶ月熟成。13.0%
特徴:ルビーレッドで青紫がかっている。フレッシュでブラックチェリーやスミレ、コショウのスパイスの感じられる香り。
   豊かな果実味とバルベーラらしい酸味があり軽快で透明感のある赤ワイン。
料理:ラグーのタヤリン、カルパッチョ、トマトソースのパスタ、チーズに合わせる。


⑤ワイン名:ランゲ ネッピオーロ レグレット 2014 DOC  人気度(14/23名)
メーカー:モンキエロ カルボーネ社
産地:ピエモンテ州
ブドウ品種:ネッビオーロ 100%
醸造:砂質土壌のロエロの畑から10月中旬ブドウ収穫。ステンレス発酵。2、3年樽のバリックで6ヵ月熟成。13.0%
特徴:ルビーガーネット色。凝縮したチェリーの香り、ローズ、樽からのローストやバニラの香り、リコリスやスパイス、タールな香りもあり複雑である。
   味わいは、凝縮した果実とビロードのようなタンニン。調和したエレガントなネッピオーロ種の赤ワイン。
料理:牛肉のロースト、熟成したチーズに合わせる。

(瀬戸)

【お食事】

1.前菜の盛り合わせ(ズッキーニのトンナータソース、インサラータ・ルッサ、バーニャカウダ)

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2.ラグーの手打ちパスタ

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3.コトレッタ・ア・ラ・ピエモンテーゼ サヴィーニ風

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IVS Japanではイタリアワインを楽しく学びながらご賞味頂く機会を昨年より回数を増やし、毎月1~2回行っております。 
7月の会も、素晴らしい企画となっておりますので、皆様是非ご参加お待ちしております。
IVS Japan事務局

■□■ 6月のLunch Time Tasting  『ALTOLIVELLO × IL FURLO』 ■□■

初のコラボ、インポーターAlto livello㈱のワインをご賞味ください。

伊東社長よりピエモンテ州を中心にセレクトされたワインのご説明を頂きます。

6月のLunch Time Tastingは  土地の個性が感じられる高品質ワインのみを扱っておられるインポーターALTOLIVELLOの伊東長敏氏をお迎えします。

ピエモンテを中心に、初夏に楽しみたい白ワイン3、赤ワイン2、合計5種類のワインをブラインドテイスティング。

生産者の想いや土地の個性等、貴重な現地の情報を伊東さんにお話し頂きつつ、IL FURLO大原さんのピエモンテ郷土料理あり、変化球ありのアッビナメントをお楽しみ下さい。

これ程までに贅沢な内容を3500円で楽しめるのはIVS Japanならでは、皆様どうぞご期待下さい。

【日程】 6/17(土)13:00~15:00

6月のLTTは、第3土曜日の開催ですのでご注意下さい。

【会場】 イル フルロ(大手町)

【会費】 会員:3500円 ビジター(非会員):4500円

2017年6月10日 (土)

当IVS Japan恒例のイベント『イタリア共和国記念パーティー』が、高田馬場のリストランテ文流8Fパーティー会場で開催されました。 

約50名の方にお集まりいただき、IVS Japan監事でもおられる文流会長の西村暢夫先生の年代記の完成を御祝い致しました。

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『西村暢夫クロニクル ~la Biografia di Nobuo Nishimura~』は公式HPに全文掲載しております。(http://www.ivsjapan.com/2017/04/post-4280.html

ウエルカムサービスではスライサーでその場で切ったパルマ産プロシュートをワインと共に皆様へ。

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顧問の馬場先生(スローフード協会)に音頭を取って頂き、西村先生と共に乾杯を。

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西村暢夫先生のこれまでの歩みを、松山恭子代表理事と対談の形で、貴重な当時のお写真や思い出の品など交えお話し頂きました。

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続いてのミニコンサートでは、オペラ歌手の長田有加里さん(東京二期会所属)をお迎えし、アリア『O Mio Babbino Caro』を歌って頂きました。
長田さんはイタリアでも学ばれており、東京のイタリア文化会館のチャリティーコンサートへも出演なさっておられます。今回美しく素晴らしい歌声を披露下さいました。

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そして皆様で『O Sole Mio』を合唱いたしました。

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ご歓談、お食事のお時間には今回のワインをご紹介。
Maurizio Bertacchini氏(Gruppo Italiano Vini)より、ワイン生産者やワインテイスティングのレクチャーをして頂きました。

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引き続き、名人瀬戸さんにイタリアのトリビアクイズ、ワインのプレゼントで盛り上げていただきました後には、モンテ物産の松井取締役よりご挨拶を頂戴致しました。

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西村先生、馬場先生、歌手の皆様、モンテ物産の皆様、文流の皆様、IVS運営メンバー、そしてご参加者皆様のご支援により、今年も盛大に素晴らしい会を開催することができました。
皆様に感謝申し上げます。

IVS Japanでは今年度もLunch Time Tasting会、恒例になりつつあるDinner Time Tasting、他にもイベントを盛り上げて参りますので、これからもご参加お待ちしております。 

IVS Japan事務局

2017年5月18日 (木)

5月のLTTは、IVS初めての試みとして和食(寿司懐石)とイタリアワインをテーマに、「銀座壮石」にて開催致しました。

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【テーマ】:寿司とイタリアワイン


世界で寿司が流行している?!

確かにニュースなどでよく聞くし、我々が海外へ行った時も寿司屋は多くなってきた気がするし、日本料理屋と名乗るレストランでもメニューに寿司はある。
しかしながら、よくみると寿司ネタは、偏っていてサーモン、マグロがメインで次にエビ、イクラ。。裏巻のXXXXロールやアボガド等の野菜の寿司である。


こはだ、煮ハマグリ、アナゴなどは皆無。まあ、これも寿司。でも今回は、これぞ江戸前寿司で!!

寿司とワインのテーマはよくあり。スパークリングはシャンパーニュではじまり、シャブリ、ムルソーと白ワインがメインでフランスワイン。
壮石ではオーストリアワインと合わせますが、今回は、我々イタリアワイン好きとして、すべてイタリアワインで合わせてみます。



料理とワインの相性について

イタリア語では、アッビナメントといいます。
ワインが持っている香りや味を見極め、料理の香りや味をお互いに高めあうように合わせることで、食事をもっともっと楽しめる至福の時間を演出する。
相性を考える上で、よく言われているセオリーがありますので簡単に紹介します。


★似たものどうしと合わせる(同調させる)!!

・色(スープの色、肉の色)

  割と誰でも簡単に理解できるのが、「色合わせ」。素材そのものを味わうような、比較的シンプルな料理の「メイン食材の色」と「ワインの色」を合わせる。

  赤ワインなら、たとえば赤身の牛肉、白ワインなら白身の鶏肉やお魚、ロゼワインならピンク色のサーモンといった具合に、同じ色の素材を持ってくる。でも????後から話しますが白に関してはどうでしょう?


・香や風味
  ワインには「ハーブの爽やかな香」「ベリーの甘くフルーティな香」「コショウのようなスパイシーな香」「柑橘系の風味」などと感じられ、そうしたワインの持つ香りや風味と同じような「香り」「風味」を持つ料理と合わせる。
  例、ワインに「レモンのような風味」を感じたとしたら、お料理にレモンを少し搾ってみる。
  「スパイシーな香り」がしたら、黒コショウを利かせる。


・同郷のもの通し合わせる
  ワインの生産地とその土地の料理と合わせる。
  もともとその風土に合ったものが郷土料理として受け継がれて、その土地に育ったブドウで造るワインと合わせる。

★正反対のものと合わせる
  ブルーチーズと甘口ワイン(ヴィンサント)、生ハムとアスティ・スプマンテ。
  もう少し言い換えると「足りないものを補い合う」。
  料理にない味わいを、ワインが持つ味わいで補う。たとえば、生牡蠣にレモンを搾るような感覚で、酸味のしっかりある白ワインと飲む。
  霜降りの牛肉なら、脂っぽさをリセットしてくれるタンニンを持った赤ワインと合わせる。

★順序による
  料理のサービス順番が味付けが弱いものから強いものへ
  軽いものから重いものへ
  同じようにワインも
  スパークリング→白(軽い)→白(重い)→赤(軽い)→赤(重い)→デザートワイン

ネガティブな味わいについて
生臭いの分析
私たちが食べている魚の筋肉・内臓・血液には、細菌が繁殖するための栄養源になる「ジメチルアミン」という魚本来の臭い成分が含まれている。魚自体に潜んでいる細菌が栄養源のジメチルアミンを分解しながら繁殖することにより「トリメチルアミン」という新たな臭い成分が生成されます。その生成された「トリメチルアミン」が生臭い原因。
そこで料理をする上で、トリメチルアミンを取り除けば生臭さはでない。
トリメチルアミンの特性から以下のような調理方法をすれば生臭さは解消される。
目新しいものは、ありません。
特性として、
「揮発性がある」 それならば火にかけて温度を上げで成分を飛ばす。=加熱調理。
「水に溶けやすい」 それならば、下ごしらえに湯をかける。 =霜降り、油通し

魚介料理とワインと飲むと生臭くなる
その原因は、魚介類にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)と呼ばれる脂肪酸が、酸化すると過酸化脂質へ変化して、それとワインが持つ鉄イオン「鉄(Ⅱ価)イオン(Fe2+)」が反応すると生臭み成分((E,Z)-2,4-ヘプタジエナール)が
瞬時に発生します。
ワインの中にある鉄イオンが少ないワインを選ぶことをお勧めします。
ただし残念なことに、ワインの裏ラベルにも鉄イオンの表記はありません。
手がかりとしては、ブドウが植えられている土壌が赤色の土でない。砂地や石灰質に植えられたブドウから造られたワインを選ぶ。
また、澱と長く接触していると鉄分は減少するようです。
例として、「瓶内2次発酵をしているワイン」、「シュール・リーしたワイン」
最後に、ワイン自体を酸化させているもの。「鉄(Ⅱ価)イオン(Fe2+)」が「鉄(Ⅲ価)イオン(Fe3+)」になっているもの
例として、シェリー、サルデーニャ島のヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ、ジュラ地方のヴァン・ジョーヌ。

私なりの結論として、相性について書きましたが、その場の雰囲気で一番飲みたいワインを飲むことで料理もさらにおいしくなり食事をこころから楽しむことができると思います。それが一番の相性だと思います。
まあ、合うことには越したことありませんが、合わなくてもそれはそれでいい思い出になり、失敗談のほうが記憶に残っていて場合があるのではないでしょうか。
合うか合わないかは、個人的な趣向になりますので自分なり、今後もイタリアワインで楽しい食事の時間をお過ごしください。

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【ワインリスト】
①ワイン名:ヴェルデッキオ ディ カステッリ イエージ 2015 DOC   人気度(10/21名)
メーカー:テッレ ヴェルディ社
産地:マルケ州
ブドウ品種:ヴェルデッキオ 100%
醸造:ブドウ収穫後、ステンレスタンク14日間の発酵。ステンレスタンクで6か月の熟成、瓶詰、瓶内熟成1ヶ月。 12.5%
特徴:淡い緑がかったレモンイエロー。柑橘系の果実香で、白い花のフローラル、フェンネルやセージのさわやかなハーブ香。
   味わいは、果実味と伸びやかな酸味、塩味のミネラルで後味にかすかな苦みを持ち軽快な白ワイン。
料理:フレッシュグリーンサラダ、魚介料理に合わせる。

②ワイン名:グレコ サンニオ ”カステルフレモンド” 2015 DOC    人気度(13/21名)
メーカー:ラ・グアルディエンセ社
産地:カンパーニア州 サンニオ地区
ブドウ品種:グレコ 100%
醸造:ブドウ収穫後、ステンレスタンクで発酵・熟成・オリ引き・濾過を行い、瓶詰め後、出荷。12.5%
特徴:レモンイエロー。柑橘系や白桃の果実香、ハーブやフローラルな香り。
   味わいは、果実味と伸びやかな酸と適度なミネラル、余韻にナッツのニュアンスを持つ調和のとれた辛口白ワイン。
料理:前菜、ピッツァ、チーズ、野菜を使ったスープや白身肉のグリルに合わせる。①ワイン名:フェッラーリ ブリュット NV DOC

③ワイン名:フェッラーリ ブリュット NV DOC   人気度(14/21名)
メーカー:フェッラーリ
産地:トレンティーノ・アルトアディジェ州  トレント地区
ブドウ品種:シャルドネ 100%
醸造:ブドウは9月上旬の手摘みで収穫して、温度管理されたステンレスタンクで自社培養酵母で12日間発酵。最低24か月間の熟成 12.5%
   トレント周辺の丘陵地帯、ヴァル・ダディジェ、ヴァル・ディ・チェブラ、ヴァッレ・ディラーギ標高250~300mの畑。
特徴:きめ細かい泡、緑がかった輝く麦わら色。りんご、黄色の花フローラル、イースト香など複雑な香。
   味わいは、きれいな酸と熟成を感じる果実味のバランスが取れ、旨味やミネラルを感じられるエレガントなスパークリングワインです
料理:アペリティフ、シーフード、パスタ、料理全般に合わせる


④ワイン名:ソビアンコレッラ イスキア・ビアンコ 2015 DOC   人気度(11/21名)
メーカー:カーサ・ダンブラ社
     ※在来品種のみを使用し、近代的な醸造設備で高品質なDOCイスキアワインを造っている第一人者。
産地:カンパーニア州 イスキア島
    ※イスキア島は、ナポリ湾最大の島であり、ギリシア時代から続くワイン造りの歴史を持つ。
     現在は、ホテルなどの観光施設の建設のため、現在も徐々にブドウ畑が減り続け、ワイナリーは3社のみに
ブドウ品種:ビアンコレッラ 100%
醸造:良質のブドウができるとされている南西部の畑のもので低温管理したマストを温度管理下で発酵。タンクで熟成、瓶詰め後出荷。  12.5%
特徴:淡いレモンイエロー。柑橘系の香りやオレンジの香りがあり、ハーブやヘーゼルナッツのニュアンスがある。
   味わいは、繊細な酸味と塩味のミネラルと火山のようなミネラル感も感じられ、しっかりした芳醇な味わいのある辛口白ワイン。
料理:魚料理、チーズに合わせる。

⑤ワイン名:ロマーニャ・サンジョヴェーゼ 2014 DOC   人気度(5/21名)
メーカー:トレ・モンティ社
産地:エミリア・ロマーニャ州
ブドウ品種:サンジョヴェーゼ 100%
醸造:ブドウを収穫、12日間ステンレスタンクでマセラシオンさせ発酵。ステンレスタンクとセメントタンクで4か月の熟成し、ブレンドしたのちボトリング。瓶熟は2ヶ月
間。 13.5%
特徴:明るいルビーレッド。フランボワーズ、チェリーの赤系ベリーの果実香、ナツメグ、甘草などのスパイス。
   味わいはチャーミングな果実味とさわやかな酸味。若々しいタンニンがありバランスのとれた味わいで、透明感のあるみずみずしい赤ワイン。
料理:生ハム、焼き鳥の塩、パスタに合わせる。

(瀬戸)

【お食事】

~すし懐石のお献立~

先付:壮石自家製の胡麻豆腐

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炊き合わせ:千両なすとアイナメの冷製

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当日仕入れによるお楽しみ江戸前の握り寿司

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 止め椀:赤だし汁

皆様ご参加ありがとうございます。皆様よりご希望を頂きましたので、また秋に再度行う予定でございます。お楽しみになさって下さいませ。
IVS Japan事務局

4月26日(水)のDinner Time Tastingは外苑前のセントベーネにて開催いたしました。

IVS創立者の川手さんとも繋がりの深いインポーター、アプレヴ・トレーディング株式会社の扱う個性的なワインを、営業責任者の吉竹様にお越し頂き、品種の個性や多様性、またそれぞれの造り手のワイン造りへのこだわりなどをレクチャー頂きました。

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【テーマ】イタリアの土着品種がもつ魅力


今回のワインの生産州

北イタリアから:
ピエモンテ州(山のワイン)2番目の白ワインで品種はナシェッタ
リグーリア州(海のワイン)4番目の赤ワインで品種はロッセーゼ
エミリア・ロマーニャ(内陸のワイン)3番目の白ワインで品種はファモーゾ

中部イタリアから:
ウンブリア州(内陸の山のワイン)6番目の赤ワインで品種はサグランティーノ
マルケ州(海のワイン)が2種類で1番目のスパークリングで品種はパッセリーナ、もう1つは、5番目の赤ワインで品種はラクリマ・ディ・モロ・ダルバ


品種の紹介:

【パッセリーナ】 白ぶどう
主な栽培地域:マルケ州、ラッツィオ州、アブルッツォ州。
果房は大きめで、すんぐりした円錐形。おおむね岐肩がつく。やや密着粒。果粒は大きな円形で、径は不均―。果皮は琥珀色がかった黄色で、厚めで丈夫。蝋質の白い粉が多くみられる。

成熟期:晩期。

悪天候や病虫害に強く多産型であるため、農民は好んで植えていた。近年の研究ではロマーニャのPagadebito、つまりBombino Biancoとは異なることが分かった。おそらくTrebbiano Toscano系の品種。


【ナシェッタ】 白ぶどう

主な栽培地域:ピエモンテ州

ナシェッタ種は、ヴェルメンティーノを原種とするピエモンテ南部ランゲの丘陵地帯で栽培される白ぶどう品種。

19世紀まではアブレーゼ周辺を中心にランゲの各地で栽培されておりポピュラーであったものの、国際品種の導入により一度絶滅。

ランゲの土着品種として認められていなかったナシェッタ種は、トリノ大学農学部の協力を得てランゲの村々の25の生産者の畑に再びナシェッタが植えられ、2000年にはランゲの固有品種として公式に認められ、さらに2010年にはランゲ ナシェッタDOCが認定された。

暑い気候で育つナシェッタ種は、果実の甘さと旨みを凝縮した味わい深さが特徴。

ナシェッタ種の味わいを最大限に引き出すための一番の工夫は、シュール・リー(澱を取り除かず、漬け込んだままの状態でおくこと)で熟成することにより、爽やかなアロマとフレッシュでフルーティーな味わいを引き出す。


【ファモーゾ】 白ぶどう

主な栽培地域:エミリア・ロマーニャ州

20世紀に入ってから「ファモーゾ」の栽培は急速に減少し、絶滅の危機に瀕していました。

原産地であるエミリア・ロマーニャ州ですら忘れていた品種「ファモーゾ」は、2009年にエミリア・ロマーニャ州のプロジェクト「知られざるぶどう品種」の一環として、農作物中央研究センター(CRPV)とボローニャ大学が共同研究し、「ファモーゾ」という品種名で国から認証された。

生命力があり、成熟も程よく速いため、収穫は通常9月初旬から中旬にかけて行われる。

ぶどうは細長い中型サイズで、房の根本が翼を広げたような円錐型。熟すとイエローがかったグリーンになるが、果実の表面はブルームと呼ばれる果質で軽く覆われている。


【ロッセーゼ】 黒ぶどう

主な栽培地域:リグーリア州(インペリア、ドルチェアクア、ヴェンティミリア、ポネンテ)。

果房は中程度よりやや大きめで円錐形。1つまたは2つの岐肩をもつ。やや疎密着。果粒は中程度より小さめで円形。果皮は黒っばい青紫色。中程度の厚さで、蝋質の白い粉が多くみられる。

成熟期:早期~中期。

名前は、赤紫っぽい果皮の色からつけられたと思われるが、遠い過去にはRosseseは白ブドウをさす時代もあるようだ。

その起源ははっきりしないが、フランスのブルゴーニュからもたらされたという説がある。13世紀後半、ジェノヴアの貿易商だつたDoria家の兵士たちによってこの地に持ち込まれたとも言われる。

彼らは、戦場であつたインペリア地域を移動する際にこのワインを持ち運んだことで広く知られるようになった。ローマ教皇パオロ 3世(在位1534~ 1549)やナポレオンもこのワインをいたく気に入ったと言われている。


【ラクリマ・ディ・モロ・ダルバ】 黒ぶどう

主な栽培地域:マルケ州(モッロ・ダルバ、サン・ザイート山、ベルヴエデーレ・オストレンツエ、オストラ、セニガツリア)。

果房は中程度のおおきさで、円錐形。岐肩をもつ。やや粗着粒。果粒は中程度の大きさ。果皮は青黒っばい色で、やや厚めで丈夫。蝋質の白い粉(ブルーム)が多くみられる。

成熟期:中期

歴史のとても古い品種のようだが、現在はモッロ・ダルバ周辺でのみ栽堵される。

多くの種類のラクリマと呼ばれる品種ないし類似した名前の品種が存在し混乱を招いている。

名前の由来は、果房が長く、果粒が扁円形で、両者ともに涙のように見えるため。また、ブドウが熟してくると果皮が簡単に割れて、果汁が涙(Lacrima)のように滴り落ちるため。

最近の研究ではAleaticoとの同一性がささやかれている。ワインのラクリマ・クリスティではない。


【サグランティーノ・ディ・モンテファルコ】 黒ぶどう

主な栽培地域:ウンブリア州

ウンブリア州ペルージャ県の町モンテファルコ近郊では、DOCGワインのサグランティーノ・ディ・モンテファルコが生産されている。

このぶどうは、宗教的儀式に用いるパッシートワイン用として修道僧たちが栽培し、1540年からは正式に収穫の開始日が定められるようになった。

その後戦争などの影響で、ウンブリア州のぶどう畑からほとんど姿を消した。しかし1970年代にサグランティーノは数少ないワイン生産者から再評価され、その後1979年にDOC(統制原産地呼称)、1992年にはDOCG(統制保証付原産地呼称)に認証。

最新の研究や技術を用いることにより、生産品質が向上しイタリアでもトップクラスのワインができる品種。サグランティーノは、黒ぶどうでポリフェノールが豊富に含まれる。

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【ワインリスト】

①ワイン名:アルタマレア・ブリュット NV 

アルタマレアとは、「満潮」のことで、多くの海の幸をもたらす。人気度(10/25名)

メーカー:チウ・チウ
産地:マルケ州
ブドウ品種:パッセリーナ 100% 樹齢6~10年
醸造:ブドウは低温で醸され、発酵は温度コントロールしながら行われる。25日間シャルマ発酵、その後3か月オリと共に置かれる。

12.0%

特徴:明るく輝きのある麦わら色。しなやかな細かい泡立ち。

レモンなどの柑橘系のフレッシュな香り、青りんごや花のような香り、ほろ苦さを感じるミネラルのニュアンスが広がり、活き活きとした酸がきれいなスパークリングワイン。

料理:食前酒、アンティパストに合わせる。


②ワイン名:ランゲ・ナシェッタ 2014 DOC

人気度(10/25名)

メーカー:エレーナ・ジュゼッペ
産地:ピエモンテ州
ブドウ品種:ナシェッタ  樹齢7~8年
醸造:9月上旬に手摘みで収穫。プレス後、果皮と共に80~100時間低温で静置、その後ステンレスタンクで10日間14~16℃に保ちながら発酵、その後オリと共に6~9ヵ月間タンクで熟成。さらに濾過せず瓶詰め、3~6ヵ月間瓶内熟成。

ラ・モッラ村にある畑は、標高260mの西向き斜面。

13.0%

特徴:輝きのある明るいレモンイエロー。

グレープフルーツなどの柑橘系の華やかな香り。味わいは北らしい活き活きとした酸味と果実味のバランスがとれた味わいで余韻に苦味とミネラルが感じられる辛口白ワイン。

料理:白身の肉、魚介類の料理、フレッシュチーズに合わせる。


③ワイン名:ファモーズ 2014 DOC

人気度(11/25名)

メーカー:サンタ・ルチア
産地:エミリア・ロマーニャ州
ブドウ品種:ファモーゾ 100%
醸造:9月始めから20日間かけて手摘みで収穫。畑とセラーで2度選果、房ごとブレス、果汁の上澄みだけを50%オーク樽、50%ステンレスタンクで短期間低温で天然酵母で発酵後、オリと共に8~12ヵ月熟成、さらに4ヵ月間瓶内熟成。

13.0%

特徴:レモンイエロー色。熟したトロピカルフルーツ、黄色い花の香やハーブの香り、スパイスに加えオークの香りが複雑である。

味わいは、フレッシュで、グレープフルーツのほろ苦さと活き活きした酸のバランスが良く、余韻も長く、ミネラルのニュアンスが感じられるエレガントな白ワイン。

料理:魚のムニエルや豚肉のソティ、サラミ、エスニック料理に合わせる。


④ワイン名:ロッセーゼ・ディ・ドルチェアクアスペリオーレ・ポソー 2013 DOC

ポソーとは畑名。 人気度(9/25名)

メーカー:マッカリオ・ドリンゲンベルグ
産地:リグーリア州
ブドウ品種:ロッセーゼ 100% 

樹齢約60年の古木 アルベレッロ仕立て(強い日差しからぶどうを守るため)

醸造:ブドウは手摘み収穫、ステンレスタンクで温度管理をしながら醸し、野生酵母での自然発酵。発酵終了後最低限のSO2添加し、瓶内熟成。

畑は、標高300mに位置するヴェルオーネ の谷古い地層に垂直に切り立ったところで海からの風通しが良い南向きの斜面にある。砕けた石に覆われた急斜面のため、水やりも手作業で行う。砂岩、泥灰土、石灰岩、シリカと貝殻の化石を含む土壌。

13.0%

特徴:ルビーレッド。チェリーなどの赤系ベリーの香り、松脂、干し肉や鉄っぽいミネラルの香り。

味わいは、みずみずしく透明感のあるワインで果実味ときめ細かいタンニンとほろ苦さと旨味が感じられる赤ワイン。

料理:ウサギの肉、赤身のお肉に合わせる。


⑤ワイン名:ダセンプレ・デル・ポッツォ・ブオーノ 2015 DOC

人気度(14/25名)

メーカー:ヴィカーリ
産地:マルケ州 アンコーナ モッロ・ダルバ地区
ブドウ品種:ラクリマ・ディ・モロ・ダルバ 100% (有機栽培)樹齢20年の古木。 ギュイヨ・サンプルおよびギュイヨ・ドゥーブル仕立て

醸造:ブドウは9月下旬から10月上旬に手摘み収穫、丁寧な選果後、特別な部屋でゆっくり3週間ほど乾燥されるアマローネスタイルで造られる。スキンコンタクトを長めに行い(20日間)、温度管理しながら発酵。ステンレスタンクで9ヶ月、さらに3ヶ月瓶内熟成。畑は、南向きの粘土や砂質土壌。

13.5%

特徴:濃いルビーレッド。レッドベリー、アプリコットの香り、オレンジピール、スミレ、バラのフローラルな香り。

味わいは、細かな柔らかいタンニン、果実の甘味を感じる、バランスのとれた優しい味わいで余韻にも熟した果実の香りが残る素晴らしい赤ワイン。

料理:ミートソースのパスタ、牛肉ロースト、熟成したチーズに合わせる。


⑥ワイン名:サグランティーノ・ディ・モンテファルコ 2008 DOCG

人気度(18/25名)

メーカー:アダンティ
産地:ウンブリア州
ブドウ品種:サグランティーノ 100%
醸造:ブドウは10月第2週に手摘み収穫、選果、破砕・除梗の後、28℃に温度管理されたステンレスタンクで醸し、天然酵母で発酵。3~4週間マセラシオンの間、ピシャージュとデレスタージュを行う。その後3000lの大樽とトノー(900l)で28ヵ月の熟成、さらに瓶熟は最低12ヶ月間。

畑は、2つの畑からで1つは、アルクアータにあり標高250mの南向きで石灰質と粘土質の混成。もう1つは、モンテファルコの標高250mの南西向きの畑で、石灰質と粘土質に砂質が加わった混成土壌。

14.5%

特徴:濃いルビーレッドからガーネット。ワイルドチェリーやブラックベリー、プラム、バニラ、香り。タール、リコリス、ジュニパーベリーなどのハーブの香り。

味わいは、凝縮した果実味と熟成からの滑らかなタンニン。厳格なワインで高い位置でバランスのとれた味わいで、余韻にも熟成のニュアンスが感じられる素晴らしい赤ワイン。

料理:塩漬け肉やジビエのグリル、熟成したチーズに合わせる。

【ワインに合わせたお料理】

Antipasto:Carpaccio di spigola all'arancia 

 天然スズキと有機野菜のカルパッチョ ~タロッコオレンジソース~ 

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Primo 1: Corzetti alla genovese con asparagi 

 ホワイトアスパラとジェノバペーストのコルツェッティ

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Primo 2: Risotto con agnello e fave 

 熟成ラムと空豆のリゾット ~カチョ エ ぺぺ仕立て~ 

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Secondo: Stracotto di manzo al vino rosso 
 国産牛スネ肉の赤ワイン煮込み ~ヴィンコット風味~

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今回お世話になったアプレヴ・トレーディング(株)吉竹様、レストラン セントベーネの皆様

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旬の食材を活かした繊細で素晴らしいお料理と共に、これだけの個性的なイタリアワインを一度に味わえる貴重な機会となりました。

皆様、ご参加誠にありがとうございました。

IVS Japan事務局

2017年4月30日 (日)

西村先生の半生記の記事の、今回は第4回目(最終回)をお届けいたします。 

(第1回の記事はこちら 第2回の記事はこちら 第3回の記事はこちら

来たる6月4日(日)12:30~14:30の会では、西村先生の半生記を川手さんとの想い出を交えてご紹介致します。

その他イタリア建国記念日パーティを兼ね、イタリア人インポーターの方にイタリアワインについてお話頂きます。
リストランテ文流のお料理とモンテ物産(株)の幅広いワインと共にお楽しみ下さい。
ご予約お待ちしております。


  

IVS Japan 監事 西村暢夫クロニクル la Biografia di Nobuo Nishimura

リストランテ文流 会長、伊和中辞典(小学館)編纂者

企画・構成 IVS Japanアドバイザー ジャーナリスト 伊藤宣晃


★8年かかったイタリア語辞典

 イタリアが好きだから、イタリア語を生かす仕事がしたかった、というのが私の人生に、いつもあります。小学館の伊和中辞典の編纂に携わったのも、イタリア語を生かす仕事がしたかったからです。
 イタリア語の辞書については、白水社と小学館でほぼ同時期に企画が立ち上がったそうです。しかし白水社が順調に刊行したことで、小学館の企画はいったん暗礁に乗り上げた。
 1970年代後半、順調だった事業を人に任せ、ヴェネツィアで日本語講師をしていた私の耳に、その話が入ります。そこで帰国を決断し、当時の大阪外国語大学教授の池田廉先生に筆頭編集委員をお願いし、白水社より大判でページ数も多い辞書の企画に練り直して小学館に持ち込み、企画は通りました。
 現在も私のオフィスがある高田馬場の平和相互ビルを編集部にして作業を行い、数人のスタッフとともに8年かかりましたが、大きな仕事をなし遂げられたと思っています。


★私の最高のワイン、ヴェルナッチャ

 前述のとおり1987(昭和62)年、私はトスカーナ州シエナに日本人のためのイタリア料理学校を開きます。シエナと言えば近くの名産白ワイン、ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニアーノ。これが私の最高のワインです。ダミジアーナという50リットルは入るガラスのかめで、ワイナリーから直接買って飲んでいました。
 ルネサンスの人文学者、プラーティナがいう「ワインのない食事は楽しくないばかりか健康によくない」を実践すべく、私は生徒たちに食堂で昼間からワインを飲み放題で提供していました(笑)。しかし生徒たちのほうで午後からのイタリア語の授業を思い、遠慮がちに飲んでいました。
 

★「同志」だった川手一男さん

 IVSジャパンの創立者、川手一男さんは同志だったと思っています。イタリアのワインや文化を日本人にもっと知ってもらいたい、そういう目的を同じにする同志です。
 彼が勤めていたモンテ物産とは、文流創業後まもなくお付き合いが始まり、川手さんは何人かいた営業担当者の1人でした。まじめな人だった、というのが私の印象です。だんだん親しくなり、彼がIVSジャパンを創立したさいには頻繁に話すようになりました。こんな組織をつくりたい、と最初に相談に訪れてくれたのが私ではないかと思います。
 創立後もいつも組織のことを考えているようで、もっと楽に考えては、と私は彼に言ったものです。物事に真剣に取り組む姿勢は尊敬します。
 私が主宰する「日本イタリア友の会」はもう40年、会合は150回を超えて続けています。そうした経験から「ときには楽に取り組むことが長続きの秘訣だよ」などとさまざまな話をしたものです。楽しい思い出です。彼も私と話しているときは、楽しんでくれていたと思います。

 
★イタリア ~はるかなる想い~

 今回、私のこれまでを振り返る機会をいただいて思うに、好きなイタリア語を生かして何か仕事ができないか、そしてそのときどきの人とのつながりを大事にする、いつもそう考えていたことがよかったようです。
 私は手紙を書くことが日課で、インターネットや電子メールの時代になった今でも、手紙を書いて皆さんに連絡をしています。そうして守るつながりが、日本とイタリアで本当にかけがえのないものになりました。
 振り返るに文流創業当時、定期的に開催していた「ワイン祭り」をまたやりたくなってきました。会費3500円でワインと料理をたっぷり用意し、イタリア音楽を流し、夕方5時から9時半まで、店で仲間やお客さんと語らいだ催しです。
 良きワインと良き仲間、かけがえのない出逢いをもたらしてくれるのが、イタリアだと思っています。 (了)

 
 
IVS Japan 
一般社団法人日本イタリアワインソムリエ
2017年4月23日 (日)

文流の西村会長(当IVS Japanの監事、イタリア大騎士の称号、イタリア文化研究家、伊和中辞典(小学館)編纂者ほか)が、イタリア文化普及にご尽力なさった経緯を記事に纏めさせて頂きました。

これはIVSJapanアドバイザー、ジャーナリストの伊藤宣晃さんのご協力により、この度記事が完成したものです。

全4回 毎週日曜日にHPへ掲載して参ります。

今回は第3回目をお届けいたします。 

(第1回の記事はこちら 第2回の記事はこちら


  

IVS Japan 監事 西村暢夫クロニクル la Biografia di Nobuo Nishimura

リストランテ文流 会長、伊和中辞典(小学館)編纂者

企画・構成 IVS Japanアドバイザー ジャーナリスト 伊藤宣晃


★料理、ワイン、本…私をとりこにしたイタリアの多様性

 北から南まで見てまわって私を驚かせたのは、1つの村に1つずつ村の名物パスタがあるというような、イタリア料理の多様性です。そして誇り。おらが村のパスタが最高だろう、とイタリア人は実に誇りに思っている。
 仕事がら、書籍の多様性は知っているつもりでしたが、食はもっとすごいと感じたのです。ちなみに出版社にも訪問してまわりましたが、日本では出版社がおよそ東京に集中していますが、イタリアでは全国に散らばっています。土地に根ざした、個性的な地元の出版文化がイタリアにはあります。
 忘れられないパスタ料理を1つ挙げると、パレルモで食べたイワシのブカティーニ(穴のあいたロングパスタ)。イワシをたっぷり入れてダシを効かせたソースに、フェンネルで臭みを和らげる繊細さを持ち合わせます。これがたまらなかった。
 ワインでは、カプリ島で飲んだ地元の白ワインや同じくカンパーニア州のイスキア島の白ワインのおいしさに感動しました。


★セミナーを開いて店のファンが増える

 帰国してからの私は、徐々に書店を息子の徹夫に任せ、イタリア料理の道にシフトしていきます。そうして1973(昭和48)年、オープンさせたのが今も高田馬場で営業を続けるリストランテ文流です。
 レストランを経営するにあたって私が心がけたのは、本格的なイタリア料理とワインを、できるだけ安く、ときにはセミナーなどを開いてお客さんの支持を得ながら続けようとしたこと。書店経営ですでにセミナーを開いていたので、ノウハウはありました。
 ローマのエナルク(国立ホテル・レストラン学校)と提携して料理人を呼び、辰巳芳子さん、本谷滋子さんなど著名な料理研究家につなぎました。
 ワインでは、何といっても岩野貞雄さん。トリノ大学でブドウ栽培と醸造を学び、ワインの著書を書いていました。彼はほぼ毎日、店にワインの指導に来てくれていました。
「飲食物の味を均一化、標準化することは、いいことだろうか。イタリアには味の違うたくさんのワインがある。イタリア人は、ワインは自然の恵みが生かされての味であること、そのことを大事にし、誇りに思っている」。岩野さんはよく、そう語っていました。
 贅沢なくらいの立派な方々が協力してくださり、文流は開店から8か月で黒字を達成します。


★1杯150円からワインを提供して挑戦 

 開店当時、今の調理場のスペースはほとんどがワインセラーでした。店の飲み物はワインしか置きません。ビールはないのか!と怒って帰ったお客さんもいました。でも私にも、文化への挑戦というポリシーがあります。今では耐えきれずビールを置いていますが(笑)。
 どこで飲んでも同じ味の日本のビールでなく、それぞれの土地に根ざした多様なイタリアワインをお客さんに飲んでほしかったのです。
 ワインは1本3000円くらいから提供していましたが、より安いポルトガル産ワインをグラス1杯150円で提供したりもしました。その結果、直木賞作家でポルトガル好きの檀一雄さん(壇ふみさんの父)が店のファンになってくれて、店の会報誌に寄稿してくださるようになります。
 書店では目録、レストランでは無料の会報誌が人と人とのつながりを生んでくれました。
 ワインしか置かない、少し気取った店と受け取られたかもしれませんが、当時は出版社の幹部の人が多く常連になってくれたことが、経営を安定させてくれました。
 彼らは好奇心が強いし経費が使えます。しかも作家さんなど、個性的なお客さんを連れてきてくれます。そうして常連になってくれたのが、芥川賞作家の丸谷才一さんです。


★人とのつながり、料理人の交流が成功の秘訣

 リストランテ文流が成功した理由の1つに、初代シェフの吉田勝昭くんの存在があると思っています。天才でした。服部学園でフランス料理の常任講師をしていたほどの人物で、イタリア料理も絶品でした。彼も木戸星哲くんの紹介です。
 文流開店に伴い吉田くんにはヴェネツィアで勉強してきてもらったので、当時の文流の料理はフレンチとヴェネツィアンを融合させた、洗練された料理だったと思います。これが受けた。
 アルデンテなど当時から本場の味にこだわって要求した私に、吉田くんは日本人の口にも合うようにバランスよくおいしい料理をつくってくれたと思います。洗練されたおしゃれな料理は「暮らしの手帖」などメディアでよく取り上げられ、経営は安定し、今日に至っています。
 その後、私は1987(昭和62)年にトスカーナ州のシエナに日本人のためのイタリア料理学校を開設しました。それ以来、シエナはもちろん、フィレンツェやルッカ、モンテカティーニなどトスカーナ州の各地で活躍するトスカーナ料理のマエストロとの関係が深まりました。
 毎年、年2~3回、日本に彼らを招聘し、料理のフェスタや講習会を開きました。その活動は取りも直さず、文流で働く料理スタッフの教育につながり、現在の高田馬場店の遠藤栄シェフ、国立店の森庸之介シェフの腕を上げる結果になったと思います。
(第4回へ続く)
 
 
IVS Japan 
一般社団法人日本イタリアワインソムリエ
2017年4月17日 (月)

文流の西村会長(当IVS Japanの監事、イタリア大騎士の称号、イタリア文化研究家、伊和中辞典(小学館)編纂者ほか)が、イタリア文化普及にご尽力なさった経緯を記事に纏めさせて頂きました。

これはIVSJapanアドバイザー、ジャーナリストの伊藤宣晃さんのご協力により、この度記事が完成したものです。

全4回 毎週日曜日にHPへ掲載して参ります。

今回は第2回目をお届けいたします。 

(第1回の記事はこちら


  

IVS Japan 監事 西村暢夫クロニクル la Biografia di Nobuo Nishimura

リストランテ文流 会長、伊和中辞典(小学館)編纂者

企画・構成 IVS Japanアドバイザー ジャーナリスト 伊藤宣晃


★目録が朝日新聞に紹介されて大反響

 当初はイタリア語学科の教員や生徒向けに本を売ることにしました。月1回、入荷した書籍の無料の目録をつくり、読者になってくれそうな人たちに配ります。
 幸運なことに、ダンテの研究者の三浦逸雄さん(先ごろ亡くなった三浦朱門さんの父)、イタリア文学者の阿部史郎さん、黒田正利さん、後に京都大学名誉教授になる野上素一さんなど、そうそうたる方々がお客さんになってくれました。
 そうして月に1度つくっていた目録のことが、たまたま朝日新聞で紹介されます。反響がすさまじかった。新聞を見た全国の読者から、その目録を送ってほしいとの問い合わせがきました。200件くらいだったでしょうか。音楽や法律など、多岐にわたるイタリア研究者からのものでした。
「この仕事で、食べていける」。そのとき私は、そう確信したことを覚えています。

★人に恵まれて順風満帆な社長業

 イタリア書房での事業が軌道に乗った私は、本の街・神田に出店したいと願うようになります。でもさすがに家賃が高い。躊躇する私に、手ごろな物件を斡旋してくれたのが先に述べた三浦逸雄さんです。おかげでいよいよ会社は、神田の雑居ビルの3階に移転します。1959(昭和34)年1月のことです。
 ビルの前にイタリア三色旗を飾らせてもらったのですが、当時は本当に珍しいことで、これが功を奏し、何だこれはとさまざまなお客さんが訪れるようになりました。
 七海吉郎さんという近所の専修大学の図書館長がまとめて本を買ってくれたりし、イタリア書房の存在がきっかけでイタリアに興味を持つ人ができるようになっていったのです。扱う本のジャンルは美術や建築、政治にまで広がって、順風満帆な社長業でした。

★頼まれて通訳としてイタリアを初訪問

 そんな私に、また転機が訪れます。
 明星食品の創業者、奥井清澄さんは、自社を麺やパスタの総合食品メーカーにしたいと思っていました。パスタといえばイタリアです。現地で見て食べて、パスタマシンを買い付けたい。それには通訳が必要だ。イタリア語の通訳を探していた奥井さんは、知人の武蔵野美大の先生を通じて私に声をかけてきました。
 費用を払うから一緒にイタリアに来てくれとの誘いに、イタリアに行ったことがなかった私は喜んで応じました。1962(昭和37)年のことです。
 そうして私は初めて憧れの国に行くことになります。
 オランダの航空会社の飛行機に乗り、アンカレッジとアムステルダムを経由して降り立ったミラノから、私たちの旅は始まりました。

★1人残ったイタリアで料理とワインに開眼

 憧れの地で私は、たくさんの失敗をします。
 ホテルで奥井さんとテレビの映画番組を見ていたら、彼がセリフを訳せと私に言う。
 実は、私はネイティブのイタリア語が思ったほどわからなかった。訳せないとも言い出せず、適当に訳していたら当然、私の訳どおりにドラマが進展しません(笑)。奥井さんは、がっかりしたと思いますが、今さら通訳を変えられないと諦めたようです。
 パスタの包装機を買い付けるとき、リラの単位を1ケタ間違えて奥井さんに訳してしまい、その値段なら10台買おう、となったものの後で慌てて電話して1台に変更してもらう、なんてこともありました。
 私のおかげで珍道中でしたが、奥井さんは起業家としてたくさんの話を私に聞かせてくれました。戦後の闇屋でボロ儲けした話、会社経営はゲームのように面白がれ、そんな話を聞かせてくれました。その後10年たたずに奥井さんは亡くなるのですが……。ひととおり買い付けを済ませた奥井さんは先に帰国し、私は1人イタリアに残って全国を一周して食べ歩くことにしました。
 そこで私は開眼してしまうのです。

(第3回へ続く)
 
 
IVS Japan 
一般社団法人日本イタリアワインソムリエ
2017年4月12日 (水)

大手町のイルフルロにて。 IVS創設者川手さんの1周忌を迎えましたので、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノと共に偲ぶ会として開催させて頂きました。

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【テーマ】トスカーナ州のワイン 第3弾(ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ)

モンタルチーノ村の位置は、トスカーナ州シエナ県。シエナの中心街から車で43km、50分ぐらいで、標高は約550m。

モンタルチーノ産地は、ティレニア海とアミアータ山に挟まれた場所にあり、そのため昼間はティレニア海からの暖かい風、夜にはアミアータ山(1700m)からの冷たい風が吹くため、昼夜の寒暖差が大きい。

気候は、地中海性気候+大陸性気候で、年平均気温が12.4℃。年降雨量は690mmとブドウ栽培に適した気候である。

8世紀の頃のモンタルチーノ産のワインとしては、白のモスカテッロが知られていて、白の生産地であった。
その証として、17世紀の詩人フランチェスコ・レディの著書「トスカーナのバッカス」にも”モンタルチーノの高貴なモスカテッロ”という記述がある。
では、なぜ今日の赤ワインとして有名になったかのか?
そこに、1人の生産者「ビオンディ・サンティ」の存在がある。
1800年代の中期から後期にかけて、ビオンディ・サンティが自社畑からサンジョヴェーゼのクローン(ブルネッロ)を発見したことから始まる。
今までは、混醸で造っていたワインを単一醸造で大樽を使用し、長期熟成されるワイン「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」の誕生である。
このワインが、パリ万博で優勝したり他の展覧会でも好評化を得て、1968年にDOCに認定。
この当時は、サンジョヴェーゼは90%以上で他の品種も認められていた。
1980年、DOCGに昇格を機にサンジョヴェーゼ100%になった。
また、ここ50年でブルネッロの作付面積が60haから2100haと飛躍的拡大をしている。
熟成の仕方も大樽の変わりに小樽を使うようになり、ワインの風味バランスを考え樽熟成期間が、3年、2年とどんどん短くなった。
そのため多様のブルネッロが次々と誕生している。

そして、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」の名声を高めた革新者も忘れていけません。
その生産者が、カステッロ バンフィである。
また、このワインを日本に紹介した人も忘れてはいけません。

IVSJapan創立者の川手さんです。

バンフィ社は、創立以来、土壌の分析、ブドウ栽培法の研究、土着品種であるサンジョヴェーゼ種のクローン研究、樽材や醸造法の研究を行ってきました。その革新とこだわりの例として以下をあげます。


【クローンの研究】
1983年、ミラノ大学と共同でブルネッロ・ディ・モンタルチーノ用のサンジョヴェーゼ種の研究を始めた。
モンタルチーノの非常に広範囲にわたるブドウ畑を分析し、そこに600種類以上のサンジョヴェーゼクローンが存在していることを突き止め、この中から良質かつサンジョヴェーゼの特徴を良くあらわしていると考えられるサンジョヴェーゼのクローンを15種類選別する。
そしてさらに、この15種類のクローンを何年にもわたって様々な畑で栽培し、ついに彼らの畑の土壌に最も適した3種類クローンに行き着いた。
【ブドウ選別】
手摘み収穫の際に選果は行うが、ワイナリーに着いた後に選果台の上で再度人の手による入念な選果を行う。
選果台をクリアしたブドウは房から外され粒だけの状態になる。そしてベルトコンベアで流れつつ光学センサー付きカメラで色・形を瞬時に自動画像解析によりチェックされ、基準に満たない粒は空気銃のようなものではじかれ、不良果が混ざらないようにしている。
【樽材】
バンフィ社は木樽(小樽)をそのまま買うのではなく、ただのオーダーメイドでもない。
フランスに樽の原料となる木材を買い付けに行き、カットの仕方も指定、カット済みの木は一旦バンフィ社に運ばれ、天日干しにされる。
雨ざらしになることで余分なタンニンが抜け、求める状態に仕上がったら、樽加工業者に送り、組み立ててもらうという手間と労力をかけている。
また、木樽の縦置き発酵槽の上部と下部のみがステンレス製になった“ホライゾン・システム”は、バンフィ社が樽メーカーとともに特許を取って、木とステンレスの長所を組み合わせた新しいシステムです。

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バンフィ社のワイン


【ワインリスト】
 ※人気度:今回のワインでどれがお好き(良かった)ですかのアンケート結果(1人5回まで31名の参加者)
①ワイン名:ブリュット メトド・クラッシコ NV V.S.Q.   人気度(11/31名)
メーカー:バンフィ社
産地:ピエモンテ州
ブドウ品種:ピノ・ネーロ、シャルドネ、ピノ・ビアンコ
醸造:メトド・クラッシコ製法でシャンパーニュと同じように、瓶内二次発酵させています。二次発酵後は、滓とともに最低24ヶ月熟成させます。 デゴルジュマン(オリ引き)は、2015年9月 12.5%
特徴:輝きのある淡い麦わら色で持続性のある細かい泡。洋ナシの香、イースト香、ミネラルを感じる香り。
   爽やかで活き活きとした酸との調和のとれた味わいを持つスパークリングワインです。
料理:食前酒、アンティパスト、シーフードに合わせる

②ワイン名:リーヴォ・ビアンコ 2015 I.G.T  Rivoとは、「小川」の意味。   人気度(19/31名)
メーカー:バンフィ社
産地:トスカーナ州
ブドウ品種:シャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン
醸造:12-16℃の温度管理下で発酵。低温で静置する。ステンレスタンクで約3カ月熟成後、瓶詰め 12.5%
   シエナとフィレンツェの間にあるキアンティの丘陵地帯にある、海抜350-400mの日当たりの良い畑で石灰岩、泥灰岩、粘土などの多様な土壌。
特徴:輝きのある緑がかったレモンイエロー。柑橘系の香り、ほのかなソーヴィニヨンからの芝、下草の香り。
   味わいは心地よい果実味と活き活きとした酸とのバランスが良く、塩味もあり、透明感のあるフレッシュな辛口白ワイン。
料理:軽めの前菜、オードブル、魚介類、シンプルな鶏の料理に合わせる。

③ワイン名:チェンティネ・ロッソ 2013 I.G.T “チェンティネ”とは、ブドウを収穫する畑を見晴らす高台にある農場名   人気度(12/31名)
メーカー:バンフィ社
産地:トスカーナ州
ブドウ品種:サンジョヴェーゼ、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー
醸造:ブドウは短時間マセラシオン。アルコール発酵、マロラクティック発酵が終わったら、小さなオーク樽で短期間熟成させ、収穫の翌春に瓶詰め。13.5%
特徴:鮮やかなルビーレッド。スグリやブラックチェリーの香りにフローラルな香りもある。
   豊かな果実味と適度なタンニンもあり、気取りのない味わいの赤ワイン。
料理:パスタ、チーズに合わせる。

④ワイン名:ロッソ・ディ・モンタルチーノ 2014 DOC   人気度(13/31名)
メーカー:バンフィ社
産地:トスカーナ州
ブドウ品種:サンジョヴェーゼ 100%
醸造:1ha当たり7トン収穫量にしたブドウを厳選し収穫。7~10日間マセラシオン。一部をフランス産の小樽に、一部をオークの大樽に入れて12ヶ月熟成。その後最低6ヶ月以上瓶内熟成。13.0%
モンタルチーノ南面丘陵に位置する海抜100mの自社畑。土壌は、明るい褐色でまばらに岩石を含む石灰質の表土。
<株密度>4100本/ha 仕立ては、コルドン
特徴:ルビーレッド。フレッシュでブラックチェリーやすみれ、スパイスの感じられる香り。
   豊かな果実味と豊かな酸味がありバランスがとれていて、きめ細かいタンニンとスパイシーさも加わり複雑な味わいの赤ワイン。
料理:肉料理、中期熟成チーズに合わせる。

⑤ワイン名:ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 2011 DOCG   人気度(27/31名)
メーカー:バンフィ社
産地:トスカーナ州
ブドウ品種:サンジョヴェーゼ 100%
醸造:1ha当たり6トン以下の収穫量にしたブドウだけを厳選し収穫。10~12日間マセラシオン。50%はスラヴォニア産オークの大樽(6000L~12000L)残りはフランス産の小樽(350L)で2年間熟成、その後最2年間瓶内熟成でトータルの熟成期間は4年。
モンタルチーノ南面丘陵に位置する海抜220mの自社畑(170ha)。土壌は、丸い小石を含む、黄土色の石灰砂質表土。 14.0%
<株密度>2400~4400株 仕立ては、コルドン
特徴:ガーネット色。凝縮したブラックベリーの香り、ミントの香りとわずかにバニラを思わせる香り、リコリスやスパイス、タールな香りもあり複雑である。
アタックは、凝縮した果実とビロードのような舌触りのタンニンとの調和したフルボディの赤ワインでまだまだ若い。
料理:牛肉のロースト、熟成したチーズに合わせる。

【お料理】

Antipasto: トスカーナ風 前菜盛り合わせ(アクアコッタ、フィノッキオーナとペコリーノトスカーノ、クロスティーニ・ディ・フェーガト)

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Primo:鴨とグリーンピース、そら豆のグラムージャ風パッパルデッレ

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Secondo:牛肉のタリアータ 菜の花と筍を添えて

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IVS Japan 事務局

2017年4月 9日 (日)

文流の西村会長(当IVS Japanの監事、イタリア大騎士の称号、イタリア文化研究家、伊和中辞典(小学館)編纂者ほか)が、イタリア文化普及にご尽力なさった経緯を記事に纏めさせて頂きました。

これはIVSJapanアドバイザー、ジャーナリストの伊藤宣晃さんのご協力により、この度記事が完成したものです。

全4回 毎週日曜日にHPへ掲載して参ります。

今回は第1回目をお届けいたします。


  

IVS Japan 監事 西村暢夫クロニクル la Biografia di Nobuo Nishimura

リストランテ文流 会長、伊和中辞典(小学館)編纂者

企画・構成 IVS Japanアドバイザー ジャーナリスト 伊藤宣晃

 

★アルバイトに明け暮れた学生時代

 

 私は京都の生まれです。1933(昭和8)年生まれです。

 父親は京都で土木技師の職に勤める役人でした。父は戦時下に中国に派遣され、橋をつくるなどの仕事をしていた後、青島で終戦を迎えました。

 終戦後、父は無事に帰国して京都で家族の生活が始まりましたが、後に戦争の後遺症で発病し、52歳のときに脳溢血で亡くなりました。

 そのことがあって、私は高校時代からアルバイトに明け暮れました

 土木作業員をしましたし、甲子園球場で飴売りもやった。ちなみに、国鉄スワローズのファンでした。そうした経験から自分で何か商売をやる目が育まれたようです。

 私の2番目の姉は、後に作家になる折目博子です。そんな境遇で私は育ちました。

 

★映画で見るイタリアに夢中になる

 

 高校時代、たまたま見たイタリア映画に、私は感銘を受けます。

日本と同じように敗戦し、身近に感じていた国と、日本との違いに深い関心を持ちました。私は、暇さえあればイタリア映画を見るようになりました。

当時、イタリア映画はネオリアリズモ(新現実主義)の時代を迎えていました。ヴィットリオ・デ・シーカ監督の『自転車泥棒』『ミラノの奇蹟』、ロベルト・ロッセリーニ監督の『無防備都市』『戦火のかなた』などを見て、私の関心はイタリア人の生きる姿勢のようなものに惹かれていきます。

 ファシズムに反抗するレジスタンスの精神、カンパニリズモ(郷土愛)というべき自治の精神、貧しくても一生懸命に生きて最後は戦火から自分たちの都市を取り返す姿が、高校生の私の目に焼き付いています。

 役所を辞めた父の仕事の都合で東京にいた私は、当然のように東京外国語大学イタリア語学科に入学していました。

 

★仕事がなくて英語教師に

 

 大学時代、私はイタリアの歴史に興味を持ち、読書会のサークルを主宰して、アントニオ・グラムシの著作を1年かけて読むなどの活動をしていました。

 グラムシの思想で印象的なものの例を挙げると、ひと言で言うと難しいですが、政治には「知的・道徳的ヘゲモニー(支配権)」が大切であり、そこに知識人が果たす役割が本当に大きいということです。

そうした読書体験が、私の精神的な柱になったと思います。

 1956(昭和31)年の卒業後、私は港区立港中学校の英語教師になります。不本意でした。当時は私も周囲の同級生も、イタリア語を生かして就職するなどということはできません。商社に就職した仲間は、イタリア語でなく英語の能力を買われてのことです。

 英語教師時代の私は、暇があればイタリア関連の本を読んでいました。

英語の授業中、私は東京湾を指さして「あの海の向こうにイタリアがあるんだよ」などと生徒に話していたそうです。後にある生徒が私を訪ねてきて、思い出話をしてくれました。「先生の英語は訛っていた。イタリア訛りだったんですかね」とも話していました(笑)。

 

★「私が助けるから」妻の言葉に背中を押される

 

 2年ほど英語教師をしていた私に、転機が訪れます。

 大学卒業後も私の家で続けていた読書会に、木戸星哲くんという人が参加していました。パスタ王と呼ばれ、パスタ宝典などを著わしたブオナッシージの著書を後に日本語に翻訳する人物です。

 木戸くんは当時NHKをレッドパージ(赤狩り)された島谷さんが経営していた新生社の社員でした。社長1人、社員1人の小さな会社でした。

 新生社のイギリスを経由するやり方だと、イタリアの本が日本に着くまでに半年かかる。イタリア語が得意な西村くんが、直接イタリアに手紙を書いて輸入したらいい。その会社を立ち上げないか。申請書類の書き方や外貨の獲得方法は教えるから、ということでした

 夢に見たイタリアとの仕事ができると思った私ですが、当時はすでに妻がいます。安定した仕事を辞めていいのか悩みました。しかし、銀行員だった妻は、私が助けるから、あなたは好きにやったらいいと言ってくれました。

 その言葉で私は決めます。1958(昭和33)年、周囲は田んぼだらけだった武蔵小杉の妻の実家の応接間を借りて、イタリア書房が創業します。
 
(第二回へ続く)
 
 
IVS Japan 
一般社団法人日本イタリアワインソムリエ