4月26日(水)のDinner Time Tastingは外苑前のセントベーネにて開催いたしました。
IVS創立者の川手さんとも繋がりの深いインポー
【テーマ】イタリアの土着品種がもつ魅力
今回のワインの生産州
北イタリアから:
ピエモンテ州(山のワイン)2番目の白ワインで品種はナシェッタ
リグーリア州(海のワイン)4番目の赤ワインで品種はロッセーゼ
エミリア・ロマーニャ(内陸のワイン)3番目の白ワインで品種はファモーゾ
中部イタリアから:
ウンブリア州(内陸の山のワイン)6番目の赤ワインで品種はサグランティーノ
マルケ州(海のワイン)が2種類で1番目のスパークリングで品種はパッセリーナ、もう1つは、5番目の赤ワインで品種はラクリマ・ディ・モロ・ダルバ
品種の紹介:
【パッセリーナ】 白ぶどう
主な栽培地域:マルケ州、ラッツィオ州、アブルッツォ州。
果房は大きめで、すんぐりした円錐形。おおむね岐肩がつく。やや密着粒。果粒は大きな円形で、径は不均―。果皮は琥珀色がかった黄色で、厚めで丈夫。蝋質の白い粉が多くみられる。
成熟期:晩期。
悪天候や病虫害に強く多産型であるため、農民は好んで植えていた。近年の研究ではロマーニャのPagadebito、つまりBombino Biancoとは異なることが分かった。おそらくTrebbiano Toscano系の品種。
【ナシェッタ】 白ぶどう
主な栽培地域:ピエモンテ州
ナシェッタ種は、ヴェルメンティーノを原種とするピエモンテ南部ランゲの丘陵地帯で栽培される白ぶどう品種。
19世紀まではアブレーゼ周辺を中心にランゲの各地で栽培されておりポピュラーであったものの、国際品種の導入により一度絶滅。
ランゲの土着品種として認められていなかったナシェッタ種は、トリノ大学農学部の協力を得てランゲの村々の25の生産者の畑に再びナシェッタが植えられ、2000年にはランゲの固有品種として公式に認められ、さらに2010年にはランゲ ナシェッタDOCが認定された。
暑い気候で育つナシェッタ種は、果実の甘さと旨みを凝縮した味わい深さが特徴。
ナシェッタ種の味わいを最大限に引き出すための一番の工夫は、シュール・リー(澱を取り除かず、漬け込んだままの状態でおくこと)で熟成することにより、爽やかなアロマとフレッシュでフルーティーな味わいを引き出す。
【ファモーゾ】 白ぶどう
主な栽培地域:エミリア・ロマーニャ州
20世紀に入ってから「ファモーゾ」の栽培は急速に減少し、絶滅の危機に瀕していました。
原産地であるエミリア・ロマーニャ州ですら忘れていた品種「ファモーゾ」は、2009年にエミリア・ロマーニャ州のプロジェクト「知られざるぶどう品種」の一環として、農作物中央研究センター(CRPV)とボローニャ大学が共同研究し、「ファモーゾ」という品種名で国から認証された。
生命力があり、成熟も程よく速いため、収穫は通常9月初旬から中旬にかけて行われる。
ぶどうは細長い中型サイズで、房の根本が翼を広げたような円錐型。熟すとイエローがかったグリーンになるが、果実の表面はブルームと呼ばれる果質で軽く覆われている。
【ロッセーゼ】 黒ぶどう
主な栽培地域:リグーリア州(インペリア、ドルチェアクア、ヴェンティミリア、ポネンテ)。
果房は中程度よりやや大きめで円錐形。1つまたは2つの岐肩をもつ。やや疎密着。果粒は中程度より小さめで円形。果皮は黒っばい青紫色。中程度の厚さで、蝋質の白い粉が多くみられる。
成熟期:早期~中期。
名前は、赤紫っぽい果皮の色からつけられたと思われるが、遠い過去にはRosseseは白ブドウをさす時代もあるようだ。
その起源ははっきりしないが、フランスのブルゴーニュからもたらされたという説がある。13世紀後半、ジェノヴアの貿易商だつたDoria家の兵士たちによってこの地に持ち込まれたとも言われる。
彼らは、戦場であつたインペリア地域を移動する際にこのワインを持ち運んだことで広く知られるようになった。ローマ教皇パオロ 3世(在位1534~ 1549)やナポレオンもこのワインをいたく気に入ったと言われている。
【ラクリマ・ディ・モロ・ダルバ】 黒ぶどう
主な栽培地域:マルケ州(モッロ・ダルバ、サン・ザイート山、ベルヴエデーレ・オストレンツエ、オストラ、セニガツリア)。
果房は中程度のおおきさで、円錐形。岐肩をもつ。やや粗着粒。果粒は中程度の大きさ。果皮は青黒っばい色で、やや厚めで丈夫。蝋質の白い粉(ブルーム)が多くみられる。
成熟期:中期
歴史のとても古い品種のようだが、現在はモッロ・ダルバ周辺でのみ栽堵される。
多くの種類のラクリマと呼ばれる品種ないし類似した名前の品種が存在し混乱を招いている。
名前の由来は、果房が長く、果粒が扁円形で、両者ともに涙のように見えるため。また、ブドウが熟してくると果皮が簡単に割れて、果汁が涙(Lacrima)のように滴り落ちるため。
最近の研究ではAleaticoとの同一性がささやかれている。ワインのラクリマ・クリスティではない。
【サグランティーノ・ディ・モンテファルコ】 黒ぶどう
主な栽培地域:ウンブリア州
ウンブリア州ペルージャ県の町モンテファルコ近郊では、DOCGワインのサグランティーノ・ディ・モンテファルコが生産されている。
このぶどうは、宗教的儀式に用いるパッシートワイン用として修道僧たちが栽培し、1540年からは正式に収穫の開始日が定められるようになった。
その後戦争などの影響で、ウンブリア州のぶどう畑からほとんど姿を消した。しかし1970年代にサグランティーノは数少ないワイン生産者から再評価され、その後1979年にDOC(統制原産地呼称)、1992年にはDOCG(統制保証付原産地呼称)に認証。
最新の研究や技術を用いることにより、生産品質が向上しイタリアでもトップクラスのワインができる品種。サグランティーノは、黒ぶどうでポリフェノールが豊富に含まれる。
【ワインリスト】
①ワイン名:アルタマレア・ブリュット NV
アルタマレアとは、「満潮」のことで、多くの海の幸をもたらす。人気度(10/25名)
メーカー:チウ・チウ
産地:マルケ州
ブドウ品種:パッセリーナ 100% 樹齢6~10年
醸造:ブドウは低温で醸され、発酵は温度コントロールしながら行われる。25日間シャルマ発酵、その後3か月オリと共に置かれる。
12.0%
特徴:明るく輝きのある麦わら色。しなやかな細かい泡立ち。
レモンなどの柑橘系のフレッシュな香り、青りんごや花のような香り、ほろ苦さを感じるミネラルのニュアンスが広がり、活き活きとした酸がきれいなスパークリングワイン。
料理:食前酒、アンティパストに合わせる。
②ワイン名:ランゲ・ナシェッタ 2014 DOC
人気度(10/25名)
メーカー:エレーナ・ジュゼッペ
産地:ピエモンテ州
ブドウ品種:ナシェッタ 樹齢7~8年
醸造:9月上旬に手摘みで収穫。プレス後、果皮と共に80~100時間低温で静置、その後ステンレスタンクで10日間14~16℃に保ちながら発酵、その後オリと共に6~9ヵ月間タンクで熟成。さらに濾過せず瓶詰め、3~6ヵ月間瓶内熟成。
ラ・モッラ村にある畑は、標高260mの西向き斜面。
13.0%
特徴:輝きのある明るいレモンイエロー。
グレープフルーツなどの柑橘系の華やかな香り。味わいは北らしい活き活きとした酸味と果実味のバランスがとれた味わいで余韻に苦味とミネラルが感じられる辛口白ワイン。
料理:白身の肉、魚介類の料理、フレッシュチーズに合わせる。
③ワイン名:ファモーズ 2014 DOC
人気度(11/25名)
メーカー:サンタ・ルチア
産地:エミリア・ロマーニャ州
ブドウ品種:ファモーゾ 100%
醸造:9月始めから20日間かけて手摘みで収穫。畑とセラーで2度選果、房ごとブレス、果汁の上澄みだけを50%オーク樽、50%ステンレスタンクで短期間低温で天然酵母で発酵後、オリと共に8~12ヵ月熟成、さらに4ヵ月間瓶内熟成。
13.0%
特徴:レモンイエロー色。熟したトロピカルフルーツ、黄色い花の香やハーブの香り、スパイスに加えオークの香りが複雑である。
味わいは、フレッシュで、グレープフルーツのほろ苦さと活き活きした酸のバランスが良く、余韻も長く、ミネラルのニュアンスが感じられるエレガントな白ワイン。
料理:魚のムニエルや豚肉のソティ、サラミ、エスニック料理に合わせる。
④ワイン名:ロッセーゼ・ディ・ドルチェアクアスペリオーレ・ポソー 2013 DOC
ポソーとは畑名。 人気度(9/25名)
メーカー:マッカリオ・ドリンゲンベルグ
産地:リグーリア州
ブドウ品種:ロッセーゼ 100%
樹齢約60年の古木 アルベレッロ仕立て(強い日差しからぶどうを守るため)
醸造:ブドウは手摘み収穫、ステンレスタンクで温度管理をしながら醸し、野生酵母での自然発酵。発酵終了後最低限のSO2添加し、瓶内熟成。
畑は、標高300mに位置するヴェルオーネ の谷古い地層に垂直に切り立ったところで海からの風通しが良い南向きの斜面にある。砕けた石に覆われた急斜面のため、水やりも手作業で行う。砂岩、泥灰土、石灰岩、シリカと貝殻の化石を含む土壌。
13.0%
特徴:ルビーレッド。チェリーなどの赤系ベリーの香り、松脂、干し肉や鉄っぽいミネラルの香り。
味わいは、みずみずしく透明感のあるワインで果実味ときめ細かいタンニンとほろ苦さと旨味が感じられる赤ワイン。
料理:ウサギの肉、赤身のお肉に合わせる。
⑤ワイン名:ダセンプレ・デル・ポッツォ・ブオーノ 2015 DOC
人気度(14/25名)
メーカー:ヴィカーリ
産地:マルケ州 アンコーナ モッロ・ダルバ地区
ブドウ品種:ラクリマ・ディ・モロ・ダルバ 100% (有機栽培)樹齢20年の古木。 ギュイヨ・サンプルおよびギュイヨ・ドゥーブル仕立て
醸造:ブドウは9月下旬から10月上旬に手摘み収穫、丁寧な選果後、特別な部屋でゆっくり3週間ほど乾燥されるアマローネスタイルで造られる。スキンコンタクトを長めに行い(20日間)、温度管理しながら発酵。ステンレスタンクで9ヶ月、さらに3ヶ月瓶内熟成。畑は、南向きの粘土や砂質土壌。
13.5%
特徴:濃いルビーレッド。レッドベリー、アプリコットの香り、オレンジピール、スミレ、バラのフローラルな香り。
味わいは、細かな柔らかいタンニン、果実の甘味を感じる、バランスのとれた優しい味わいで余韻にも熟した果実の香りが残る素晴らしい赤ワイン。
料理:ミートソースのパスタ、牛肉ロースト、熟成したチーズに合わせる。
⑥ワイン名:サグランティーノ・ディ・モンテファルコ 2008 DOCG
人気度(18/25名)
メーカー:アダンティ
産地:ウンブリア州
ブドウ品種:サグランティーノ 100%
醸造:ブドウは10月第2週に手摘み収穫、選果、破砕・除梗の後、28℃に温度管理されたステンレスタンクで醸し、天然酵母で発酵。3~4週間マセラシオンの間、ピシャージュとデレスタージュを行う。その後3000lの大樽とトノー(900l)で28ヵ月の熟成、さらに瓶熟は最低12ヶ月間。
畑は、2つの畑からで1つは、アルクアータにあり標高250mの南向きで石灰質と粘土質の混成。もう1つは、モンテファルコの標高250mの南西向きの畑で、石灰質と粘土質に砂質が加わった混成土壌。
14.5%
特徴:濃いルビーレッドからガーネット。ワイルドチェリーやブラックベリー、プラム、バニラ、香り。タール、リコリス、ジュニパーベリーなどのハーブの香り。
味わいは、凝縮した果実味と熟成からの滑らかなタンニン。厳格なワインで高い位置でバランスのとれた味わいで、余韻にも熟成のニュアンスが感じられる素晴らしい赤ワイン。
料理:塩漬け肉やジビエのグリル、熟成したチーズに合わせる。
【ワインに合わせたお料理】
Antipasto:Carpaccio di spigola all'arancia
Primo 1: Corzetti alla genovese con asparagi
Primo 2: Risotto con agnello e fave
Secondo: Stracotto di manzo al vino rosso
国産牛スネ肉の赤ワイン煮込み ~ヴィンコット風味~
今回お世話になったアプレヴ・トレーディング(株)吉竹様、レストラン セントベーネの皆様
旬の食材を活かした繊細で素晴らしいお料理と共に、これだけの個性的なイタリアワインを一度に味わえる貴重な機会となりました。
皆様、ご参加誠にありがとうございました。
IVS Japan事務局