2016年8月 5日 (金)

ピエモンテ州北部湖水地方の南に位置するBoca, Gattinaraに隣接する。生産者は10件ほどしかないという限られた土地。今では森の合間に畑が点在するが、100年ほど前までは見渡す限りブドウ畑であったという。フィロキセラ、戦争の影響を受け、ほとんど荒れていたが、期待を寄せ少し土地を購入したAntonio Cerri氏に賛同したChristoph Kuenzli氏がLe Pianeを1988年に創業する。


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標高約450mからのパノラマは素晴らしいが、畑は急斜面に段々畑状に植樹されている。勿論、仕事は全て人の手で行う他ないのである。

ここで注目すべきはもう一つ、栽培方法である。『Maggiorina』

4本のブドウの木を1箇所に植え、枝をそれぞれ四方に拡げて育てる。上方で支柱を囲むように蔓が伸びることで、安定感を生む。形が造れるまで7、8年掛かる。

実はこの方法はローマ時代以前のこの辺りの土地で果物作りに使用されていたとPlinio il Vecchio (プリニウス)の自然史文書に記述があるという。

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このマッジョリーナ方式を現代の列式栽培に変更を掛けた畑もある。2本の木が並んでいるので痕跡がある。また木間が広いまま残している畑と、間を埋めるように新しい木を植えている場所も。

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ブドウの木の周りは草花が自然の成り行きに任せて育っている。栄養、更に水分調整をしてくれ、土砂崩れを防ぐ効果がある。

森に囲まれている場所は暑さから守られ、風や湿度にも加減が良い。

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世界的に異常気象の影響があり、ここも2日前は16度程しかなかったが昨日今日と28度を超えて日中はとても暑かった。5月の平均はこの位だそう。 いよいよブドウの実がお目見えです。

こちらはVespolina。湿気に弱く、皮も薄いデリケート品種。

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こちらはNebbiolo。Bio申請は未だだが、明らかにBio生産の畑では、ブドウの実の育ち方も様々。それぞれバランスよく量を調節したり、また夏を超えた頃に葉の量を調節、更にブドウの量も。結果的に50,000本しか造られないのです。

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さて今日私を案内して下さったのはChiara Tinivellaさん。趣のある芸術家肌の人生をいかにも楽しんでいる方。サムライと結婚したいそうです。

彼女も軽快に傾斜を登ります。 そして、ワインのテイスティングの時も熱心で、余りに感銘を受けた私に、2011年の市場に出たばかりのBOCAと2007年のボトルをその場で開けて比較をさせてくれました。 ネビオーロ85%に15%VespolinaというTaglio(セパージュ)でフレッシュ感と優しい質の良いタンニンが若さを感じさせるが、2007年は既にエレガントなネビオロに、大変身し、フランスワインでいうブルゴーニュ系の味わいに驚きです。しかし、未だ変化が楽しみな感じで、人生終わる前に開けたいね、と仰ってました。

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彼女自作デザインのテイスティングテーブル。 

Maggiorinaのワインは10種類もの品種がブレンドされ、フレッシュ感、ミネラル、フルーティさが面白く、初めてのテイストでした。時に楽しみたいワインです。

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次はGattinaraのアグリツーリズモとワイン生産者アンツィヴィーノへ


 

 

 

Kyoko Matsuyama

17/Maggio/2016

Gattinaraは約8000人の住む碁盤の目のように道が整った、落ち着いた街です。1200年代に出来た街は南からフランスへの軍隊の通り道でありました。

この辺りの土地一帯はアフリカ大陸のプレートがヨーロッパ大陸の下部に入りこみ、それによって生まれた火山地帯である。最近の研究結果で押し上げられた火山が折り込むように倒れて拡がった事がわかり、博物館で観ることができるそうです。

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さて、『アントニオーロ』に着いた時迎えて下さったのがLorellaさんで、「ti va un caffe'?」とまずは向かいのBarへ。イタリアでは仕事の前に欠かせないものですよね。彼女はタバコも必須のようでしたが。

そして、畑へ。畑用の車を壊されて、今母親の車しかないのよ、と明るい調子で、急な坂を登っていきました。右写真が彼らのブランドともいえるOsso San GratoのCruです。

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その他、SanFrancesco, Castelleの畑を持つ。 土壌はPorfido Vulcanico (火山質斑岩)

赤みがかった岩質は脆い為、砂質に近い部分もあり、Osso San Grato⇒San Francesco⇒Castelleの順に段々若く、岩質が少なくなるので、やはり生まれてくるワインの味わいも異なってきます。

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ブドウの木の合間にはいろんな野草を混ぜて植えています。これだけの傾斜がある為全て人力で行っています。移民の方に野草のカットを依頼することもしばしば。そこで、ブドウの木を傷めないよう、ブドウの木傍は植えないようになったそうです。ブドウを育てるのに重要な技術Potatura(剪定)は専門家の決まった2人しか行わない、Bio栽培により銅、窒素以外の薬剤は一切使用しないなど徹底しています。

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栽培方法はGuyot.ブドウの実の付き方のバランスを見てdiradamento(ブドウの量を落とす)を行い、夏の日射しが弱まる頃にdefogliatura(葉の量を調節する)、更に最後の調整としてブドウの量のバランスを取っていきます。

Nebbiolo品種のみを育てておりますが、GattinaraではクローンとしてSpannaと呼ばれております。5月半ばで順調に実が育ってますね。

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1905年にGrandinata(あられの嵐)がGattinaraを襲ったことで、この辺り一帯800ヘクタールもあった畑は全滅。その後再生され、今では100ヘクタール程である。その内の14ヘクタール程をAntonioloが持っている。Travaglini,Nerviに次ぐ。年間20万本程の生産量ですから、限られており、70%以上が海外へ輸出しているそうです。

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ブドウの木の合間にはクワの花が沢山育っており、きっとジャムにすると美味しいのでしょうけれど、自然のまま放置だそうです。またLorellaさん野草を使った料理がお好きだそうで、例えばタンポポの葉(Tarasaco),野性アスパラガスなど紹介してくれました。 他にはぶどうの若い蔓の先を噛むとレモン、ライムのような味がしますよ。。。

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さてカンティーナ。創業当時はCentro Storicoの修道院の中にあったそうですが、歴史的建造物のため、手を入れる事ができず不便なものであった為、祖父様の時代に今の場所へ移ったそうです。カンティーナの中はとてもシンプルな印象でした。

自然発酵させる為、セメントのタンク5つに入れられ、その後大樽にて熟成。使用済みバリックやトノ‐も少し使用。Gattinara DOCGは2年以上樽熟成、1年以上瓶内熟成という規定なので、Antonioloでは樽3年だそうで、本来であればRiservaですが、全てが3年なので、敢えて呼ばないそうです。

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年季の入った大樽は手入れをしてあげれば、何年でも使えるそうです。

残りわずかのOsso San Grato、SanFrancescoは隠してあったところから登場。

次はBOCAへ!⇒ワイン生産者レピアーネへ

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17/5/2016

kyoko Matsuyama

ピエモンテ州の湖の中でも落ち着いた趣のある湖『オルタ・サンジューリオ』

ほとりにあるチェントロやミシュラン星付きレストランVilla Crespiのご紹介の前に、こんな場所をご存知ですか。

オルタには鉄道が走っています。駅前の町Legro では町興しで始めたこの辺りを舞台にした映画を題材に''Paese Dipinto''壁に描かれています。

Riso Amaro(苦い米)は有名ですね。 

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Parodia sul caso Matilde(左下)

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una spina nel cuore(右下)

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さて、駐車場で車を置いて、徒歩でチェントロに差し掛かる頃、独創的な屋根と、真中に浮かぶ小さな島、そして、向こう岸にSantuario della Madonna del Sasso(断崖に立つ教会)が見えます。

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町はピンクや黄色の壁に色彩りどりの花が飾られ、散歩も楽しくなります。

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Stresaの島群よりショッピングの規模は小さいが、落ち着いた雰囲気は否めない。

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ここもボート motoscafiで島に渡れる。素敵な水夫Marinaioが出迎えてくれます。

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小路に入り、階段を結構登っていくと、眺めのいい所にはやはり素晴らしいお屋敷が建っています。

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そして、やはり教会も見晴らしの良い、立地好条件にありました。

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ここまで来たら、必ず訪れたいレストランはここ、Villa Crespi!

ご希望であれば宿泊もできます。

この大きなシェフ Antonio Cannavacciuoloは今やテレビ番組で引っ張りだこ。よって賛否両論ありますが、試す価値ありです。

とにかく、建物はムーア様式で、天井の高さといい、内装も鮮やか。小室で5組といった空間で、もサービスも至れり着くせり。向かいのテーブルのun Signore(男性客)が、最初から最後まで嬉しそうに完食なさっていたのが印象的でした。

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前菜はピンクのスープに生牡蠣。確かラディッシュで作っていました。

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いわゆる郷土料理Carne Battutaを鮮やかにアレンジした一品。

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ワインは車だったので控え目でしたが、実は日本人のソムリエの方が働いてらっしゃって、

いろいろ面白いワインを提供してくださいました。

こちらはBarbarescoで初老の方が1人で作っているそうで、ラベルも可愛く、味わいも人柄が出ているように感じました。

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鱈のお料理もファンタジー溢れるお皿に。

カンノナウをマルサラ風に造ったというサルデーニャはSerra&Moscaのワインはデザートに合わせます。お料理の数も写真を撮るのを忘れる程あり、デザートは後ろ髪を引かれながらも、完食は無理でした。

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Villa Crespiは早めの予約をお勧めです。水曜日ランチというのに、2週間前で満席でした。

次はGattinaraへ移動します。

⇒カンティーナAntoniolo訪問

18/5/2016 Kyoko Matsuyama

2016年8月 2日 (火)

 

今年好評頂きましたイタリアWSA(Worldwide Sommelier Association)認定講師をお招きして、イタリアワイン専門に学べるコースを来年も開催決定!

今回はマスターコースも実施します。    

 お申込み、ご質問はこちらまでお問合わせ下さいませ。 募集開始!

  EMAIL:info@lci-italia.com

   お問合わせフォーム

Corso di Sommelier

ワイン好きな方、ワインを仕事になさっている方、なかなか系統だって学ぶのが難しいイタリアワインについて、一度専門的に勉強されたい方に、より詳しい知識と共に、イタリアワインの面白さを理解するチャンス。

テイスティングの種類も豊富な贅沢な内容。 通訳もあり、ご質問も自由に行って頂けます。

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講師      *通訳あり

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 Prof.Avv.Giuliano Lemme

Prof.Avv. Antonella Anselmo             

 ローマを本拠地とするFISFondazione Italiana Sommelier)よりWSA認定シニア講師をお招きします。

 

FISはイタリアワイン雑誌で有名なBibendaを発行しており、更に毎年イタリア各州へ足を運んでワインを評価し、最終的にGrappoli(ブドウ房)の数で判定し、毎年ワインガイド本を発行していることでも知られております。

講師も他のソムリエと一緒に評価に携わっており、現状のイタリアワインの実態を語って下さる事もコースの魅力です。


タリアワインソムリエコー

wineコース 【全て通訳付き】

【基礎コース1】イタリア各州のワインBase 

【基礎コース2】お食事との合わせ方 Base

【マスターコース】イタリアの豊富な品種と土壌 Master 1. / Master 2.   


イタリアワインソムリエコース

wineディプロマ 

Tastevin_fis1部、2部両コース修了され、最終試験に合格された方にはWSAイタリアワインソムリエの資格タストヴァンTastevinカラートーン識別カードが授与されます。

イタリア政府認可 WSA worldwide sommelier association 会長Franco Maria Ricci直筆の修了証が授与されます。

 


イタリアワインソムリエコース

wineコース概要

clover Corso sui vini regionali  イタリア各州のワインコースBASE】 3時間x 5レッスン

日程】 レッスン1日目   2017年1月18日(水)19:00 ~22:00

          レッスン2日目 2017年1月19日(木)19:00~22:00

    レッスン3日目  2017年1月20日(金)19:00~22:00

    レッスン4日目  2017年1月21日(土)18:00~21:00

    レッスン5日目  2017年1月22日(日)18:00~21:00

 【受講費用】 85,000(税別) 

1)イタリアワイン醸造学 北西部:ピエモンテ州、ヴァッレダオスタ州、ロンバルディア州

  テイスティング:4種類

2)イタリアワイン醸造学 北東部:ヴェネト州、トレンティーノ-アルトアディジェ州、ジューリア ヴェネツィア フリウリ州

  テイスティング:4種類

3)イタリアワイン醸造学 中部1:トスカーナ州、エミリアロマーニャ州、マルケ州、アブルッツォ州

  テイスティング:4種類

4)イタリアワイン醸造学 中部2:ウンブリア州、ラツィオ州、カンパーニャ州、プーリア州

  テイスティング:4種類

5)イタリアワイン醸造学 南部: バジリカータ州、カラブリア州、シチリア州、サルデーニャ州

  テイスティング:4種類

   試験とディプロマの授与

場所:LCIイタリアカルチャースタジオ 吉祥寺


clover【Corso di abbinamento ワインと食事の併せコース 】   5時間 x 2日間   

【日程】  2017年1月21日(土)・22日(日) 各11:00~16:00

 【受講費用】:65,000円(税別)

1日目)    - 食事とワインの合わせ方の感覚分析と技法 (Analisi Sensoriale del Cibo e del Vino、Tecnica dell'abbinamento)

    -パスタ、パン、米料理、 魚との合わせ方・理論と実践・試食 (Pasta, Pane ,Riso e Pesce DEGUSTAZIONE: cibo e vino )

イタリアワインソムリエコース

2日目)   - 肉、イタリアサラミ類の合わせ方・理論と実践・試食 ( Carne e Salumi Italiani  DEGUSTAZIONE: cibo e vino )

    - イタリアチーズ、ドルチェ、ジェラート、フルーツ、チョコレート (Formaggi Italiani ,Dolci, Gelati, Frutta e Cioccolato DEGUSTAZIONE: cibo e vino)

場所: Ristorante PRIMI BACI 吉祥寺駅3分

 


clover【 Corso Master Primo '' vitigni e regioni italiani''  イタリア品種と土壌 マスター primo コース 】  3時間x 3レッスン

 このMasterコースはイタリアワインをお仕事になさっている方、既にソムリエを勉強された方、またイタリアワインを好きな方が更にイタリアワインの魅力、面白さを追求するために知っておきたい、より深い知識が学べますので、大変興味深い内容です。

日程】 レッスン1日目   2017年1月18日(水)13:00 ~16:00

          レッスン2日目 2017年1月19日(木)13:00 ~16:00     

            レッスン3日目  2017年1月20日(金)13:00 ~16:00

 【受講費用】 60,000円(税別)

1) 品種:ネッビオロとモスカートと土壌(ピエモンテ州~ロンバルディア州、世界遺産エリア)

I terroir di Nebbiolo e Moscato (Dal Piemonte alla Lombardia: borghi e paesaggi Unesco)

2)品種:サンジョベーゼとヴェルディッキオと土壌(イタリア中部;品種多様性、歴史的・文化的に見られる土壌の細分化)

I terroir di Sangiovese e Verdicchio (Centro Italia: la grande biodiversità,la frammentazione storica e culturale da costa a costa)

3)品種:アマローネとガルガネーガと土壌(ヴェネト州と古代)

I terroir dell’Amarone e del Garganega (Veneto e la classicità palladiana)

 

マスターコースPrimoの受講資格: イタリア各州のワインコース BASEを受講された方。又は他のワインソムリエコース資格取得された方。

このコースではイタリアの豊富な土着品種の中でも代表的重要な品種とその土壌や気候の特性、そこから生まれるワインについて知識を深めていきます。

この3日間のMaster 1を前半とし、次回に後半(Master 2)が開催されます。

各レッスン講義とテイスティング実践で構成されております


イスティング用のすべてのワインは この度、モンテ物産(㈱)様よりご協賛頂きます。

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※各コース12名様限定お申込みはお早めにどうぞ。

Eメール:info@lci-italia.com TEL0422-24-8897  LCIイタリアカルチャースタジオ

【主催】   IVS Japan 日本イタリアワインソムリエ

【企画運営】 LCIイタリアカルチャースタジオ

【定員】各コース12名   

*コースは基礎1と2がセットで、まずご受講頂き、こちらのコースを修了された方にマスターコース1をお勧め致します。

スケジュール等のご都合により、基礎1、2、マスター1のいずれかだけの受講も可能でございます。

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Il corso è organizzato in collaborazione con Fondazione Italiana Sommelier (con il riconoscimento giuridico della Repubblica Italiana) e Worldwide Sommelier Association, che hanno esperienza pluridecennale nell'organizzazione di corsi per sommelier. I docenti sono relatori della F.I.S. e della W.S.A.

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2016年8月 1日 (月)

8月13日のLTTも沢山のご参加お申込みを頂き、事務局一同心より感謝申し上げます。

今月のテーマはファン垂涎、イタリア最北端の州『トレンティーノ・アルトアディジェのワイン』です。

今月はトレンティーノ・アルトアディジェ州

オーストリアと長い国境を接し南チロルとも呼ばれる北部アルト・アディジェと、州都トレントを

中心とした南部トレンティーノの二つの地域で成り立っています。

アルト・アディジェはその歴史からオーストリアやドイツとの関わりが深く、ドイツ語とイタリア語が併用され、ワインもドイツ品種に由来するものが数多く造られています。

ドロミテ渓谷を有するその冷涼な気候からは非常に高品質の白ワインが多く生まれています。

一方トレンティーノは西をロンバルディア、東をヴェネトに隣接し、固有品種の赤や、良質の瓶内二次発酵のスプマンテ(Trento DOC)等、魅力的なワインが多い地域です。

ひとつの州でありながら全く違う特徴をもつ二つの地域、今回は白ワインを中心に贅沢にも品種別に飲み較べます。

ご参加予定の皆様、お楽しみに!

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Trento DOC (トレントのスプマンテ)

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S.Maddalena / Cantina Bolzano (ボルツァーノ)

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Cantina Rotali/ Trento (ワイナリー ロータリ)

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Assaggio di Teroldego Rotaliano (テロルデゴ品種)

2016年7月24日 (日)

7月9日(土) イルフルロにて、満席での開催となりました。

テーマ≪夏の赤ワインの楽しみ方≫

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気温が上がってくる夏は、どうしてもビールやハイボールといった清涼感があるものが好まれます。

赤ワインは敬遠されがちに・・・

赤ワインが美味しく感じられないのは、 ワインを飲む温度のせい。今回は、乾杯の前にお水で温度の違いを直に感じていただき温度の大切さを理解していただけたと思います。 人が口にしたときにひんやりと感じる温度は、もっと低い6~14℃くらい。
そこで、赤ワインよりも白ワインの適温に近い温度10~14℃で、赤ワインを楽しみました。

≪今日のお料理 ≫

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一般的に言われている温度帯

スパークリング、白ワインおよびロゼワイン(甘口):6~12℃
白ワイン(辛口):6~14℃
ロゼワイン(辛口):6~14℃
赤ワイン:12~20℃

どんな赤ワインもよく冷やせばよい、というわけではありません。赤ワインは、低い温度で飲むと香りが閉じこもりやすくなり、渋味がより強く感じられてしまう傾向が科学的にも証明されているからです。

冷やして美味しい赤ワインの要素は
1. 渋み、タンニンが少なく、口当たりが柔らかいタイプ
2.香りが華やかなタイプ
3.しっかりした果実味があるタイプ、フレッシュなワイン
4.アルコール度数が低めのタイプ(目安は13%以下)

赤ワインも飲む温度と冷やしても美味しいワインの特徴を
理解してこれから来る暑い季節にも赤ワインを美味しく愉しみましょう!

では、どれくらい冷やせばいいの?
一般的に8~13℃まで冷やす場合には、冷蔵庫に入れて約1時間。もっとすぐに冷やしたい場合には、アイスクーラーです。氷と水をいれて5分程度で適温になります。

≪今日のテイスティングワイン≫

①ワイン名:ビアンコ・デッレ・ヴェネツィエ・フリツザンテ
メーカー:ドニーニ
産地:ヴェネト
ブドウ品種:ガルガーネガ80%、シャルドネ15%、ソーヴィニヨン・ブラン5%
醸造:ソフトにプレスしてアルコール発酵させた後に、タンク内で2次発酵(シャルマ方式)
特徴:緑がかった淡いレモンイエロー。ヨモギ、アーモンドの花の香りにトロピカルフルーツの香りが広がり
   味わいは、辛口でやわらかな泡で塩味も感じられ非常にバランスがとれたワインです。

②ワイン名:ランブルスコ・グラスパロッサ360 セッコ
メーカー:ドネリ
産地:エミリア・ロマーニャ
ブドウ品種:ランブルスコ・グラスパロッサ、マルポ・ジェンティーレ(補助品種)
醸造:アセラシオンの後にアルコール発酵。その後圧力タンクでゆっくり2次発酵(シャルマ方式)
   残糖度が10g/lになったところで温度を下げて発酵を終了させる。
特徴:レビーレッド。赤い果物やスパイスの香り(ランブルスコ・グラスパロッサの特徴)、果実味が豊かでかすかなタンニン。
   バランスのとれた味わいのランブルスコです。

③ワイン名:フランチャコルタ サテン・ブリュット
メーカー:ラ・モンティーナ
産地:ロンバルディア
ブドウ品種:シャルドネ100%(30%を樽で一次発酵)
醸造:フランチャコルタ伝統的なMarmonierでソフトプレスを行い、30%をミディアムトーストされたバリックで一次発酵、
   約40ヵ月間瓶内熟成させます。
特徴:麦わら色のきれいな泡、トロピカルフルーツ、アカシアやハチミツ、イーストのアロマが心地よく、
   約40ヵ月間瓶内熟成のせいか複雑でいて繊細な味わいです。

④ワイン名:カステル・デル・モンテ ロゼ
メーカー:リヴェラ
産地;プーリア
ブドウ品種:ボンビーノ・ネーロ
醸造:ステンレスタンクで18時間スキンコンタクトさせ、フリーランジュース(一番搾り)を18~20℃で
   12~15日間発酵させる。瓶熟は6,7カ月。
特徴:明るいルビー(サーモンピンク)。フレッシュでフルーティな香り、果実味ほどよい酸味で軽快な味わいです。

⑤ワイン名:カ・ブリオーネ =>畑の名前
メーカー:ニーノネグリ
産地:ロンバルディア
ブドウ品種:ソーヴィニヨン30%、シャルドネ30%、マンゾーニ30%、キアヴェンナスカ10%
醸造:国際品種のソーヴィニヨンとシャルドネと黒ブドウのキアヴェンナスカ=ネッビーロから
   造る白ワイン。新樽と2年目のフレンチオークのバリック(小樽)で熟成。
特徴:レモンイエロー。凝縮した果実味と樽からの風味でとトロピカルフルーツとスパイス
   感じられ複雑でエレガントな味わいです。

⑥ワイン名:バーリオ・グラニトラ ネロ・ダーヴォラ
メーカー:ゴルギトンディ
産地:シチリア
ブドウ品種:ネロ・ダーヴォラ100%
醸造:8月下旬に手摘みで収穫。ステンレスタンクで発酵後、5ヶ月の熟成と3ヶ月の瓶内熟成
特徴:ルビーレッド。シチリアらしい果実の豊かな香り。酸も乗っていてバランスのよい味わいです。

   報告者:瀬戸

2016年7月 2日 (土)

CANNUBI, ALL'ORIGINE DEL NATO DEL BAROLO   

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GAUDI’は言った。『個性や特徴は起源に帰す。』 この言葉のとおり、カンヌビの丘とそのワインを見れば、バローロ神話の真髄がわかる。カンヌビはバローロ最古の畑であり、イタリアワイン醸造において源となる畑といえる。

左の写真はブラの町のManzoneの個人所蔵によるCannubi。 ヴィンテージ1752年のボトル。

1844年貴族Marchesa Colbertのバローロよりも以前に存在し、その頃から既に有名で、最上級クラスの象徴だったことがわかる。

カンヌビ畑は優しいうねりのある丘が南北に伸びている。バローロの旧市街からアルバに向かう2つの道に挟まれている。

標高は220m~320mなので緩やかな傾斜。最良部の方角は南と南東。その他は、東~北東、西~北西向き。

カンヌビという名の起源は葦であると言われている。ブドウの木を支えるのにこの辺りで昔使用していた葦(Canneti)。あるいは、異なる地質が混ざった土壌を意味する交接(Connubio)からとも。

個人的には葦の語源が有力と思われる。

カンヌビはトルトニアーノやセッラヴァリアーニの土壌の合流点ではなく、テッラディバローロの土壌は粘土質の泥灰土であり、時に青みや白グレーを表面に帯びる。



 カンヌビの特徴

同じ地質の他の畑と比較すると、カンヌビは砂質を多く含む。

石灰質はケイ土の含有量が多く、水はけが良い。痩せていて、わずかな粘土質を含む。

気圧の変化や北東からの風から守られて、気候はとても穏やかである。

このような土壌気候により造られるネッビオロは、よりエレガントな味わいで、ブドウは周囲の畑よりも1週間程早く熟す。

しかし、このような気候は10年程前からであって、以前はこんなに優しい気候ではなく、秋一杯熟成を待つ為、雨や湿気、カビによる腐敗リスクも高く、時には雹に降られることもあったので、他のバローロよりも値段が高かった理由も納得できる。

カンヌビのブドウはエレガントなタンニンとバランスの良さ、豊かな風味、長期熟成などの特徴によって、洗練されたワインに仕上げる為に他の畑で造られるワインにブレンドし、使われることがしばしばある。

起源といわれるカンヌビ神話はここにある。多くのバローロ生産者から望まれるミクロゾーンであり、他にはない興奮や野心を駆り立てる。少なくとも5人に1人はカンヌビ畑を所有したいというだろう。

カンヌビ畑の内にも土壌の違いが見られる。ブルゴーニュと似ていると言われるが、多斜面のある丘は方角も多様で、特徴によって畑の区別するのは容易ではない。

カンヌビはほぼ中心に拡がっている。他の4つの畑(Boschis o Monghisolfo,Valletta, San Lorenzo e Muscatel)より高い丘の中心にある。

Fantini(1879年)、Renato Ratti (1976年)、Carlo Petrini(1990年代)を初めとする多くの有名なバローロ生産者が、わずか19ヘクタールのCannubiの中心を所有していた。(Cannubiの外側は47ヘクタール。)

真のカンヌビのワインとそのソットゾーンのワインには明確な違いがあり、ある生産者は各畑の違いを表現することに優位性があるという。

1994年以前はカンヌビは中心部のみであったが、バローロで名を馳せるようになると、カンヌビゾーンは広がった。Cannubiまたは、Cannubi Boschis, Cannubi SanLorenzo, Cannubi Valletta, Cannubi Muscatel。この辺りの畑は上手く醸造すれば、洗練されたCannubiに近づく。

2013年にMeGAの規定により、ラベルにCannubi、またはソットゾーンをCannubi Muscatelなど詳細に記載することができる。

 

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畑の特徴

Cannubi:

中心部にある。砂質が多い土壌。よりエレガントなワインに仕上がる。標高はさまざまで高いところは150m。畑だけでなくワインにも個性が見られる。カンヌビサンロレンツォのワインにやや似ている。

Cannubi San Lorenzo:  

MuscatelとCannubiの間に位置する。名前は黒死病の頃、建てられた教会に由来。標高300mに達する。カンヌビの中で一番標高が高く、風当たりもある。南東向きBusssia方面と南西向きSarmassa方面。柔らかく砂質の土壌。ワインはとてもエレガント。

Cannubi Muscatel:

Baroloの村境からVallettaの間に位置する。フィロキセラ到来以前はネッビオロだけでなく、モスカートも造っていたという。南東と南向き。やや砕けにくい、粘土質が多い土壌。ワインはカンヌビの特徴を残しながらも、熟すのを待たず飲めるタイプ。

Cannubi Boschis:

Alba方面に向かう丘の最後の部分。かつてはMonghisolfoと呼ばれていた。南東と南向き。名前は昔の所有者から取ったそうで、Ghisolfo⇒Boschisと変わっていった。カンヌビより更にバランスのよい、より涼しく、粘土質の豊かな土地。

Cannubi Valletta:

サンロレンツォが西にあり、Cannubiが北、Muscsatelが南にある場所。盆地形状から名前が付いている。北東、南東向き。石灰質と粘土質の土壌はより構造のしっかりとした、丸みのある、カンヌビより香りが控えめなワイン。

*この記事は、雑誌『Barolo&Co.』編集長Giancarlo Montaldo氏のご協力により、2016年3月発行第1号よりMichele Longo氏の記事を日本語にてご紹介。

2016年6月27日 (月)

こんにちわ。IVS Japan代表を務めます松山恭子です。5月にピエモンテを北から南へと周って参りましたので、少しご紹介させて頂きます。

旅は湖水地方から始まります。

ミラノ(マルペンサ空港)から車を走らせると1時間程でマッジョーレ湖のほとりにあるストレーザの町に着く。いくつか乗り場はあるが、Piazza Lidoからボートmotoscafiに乗る。お勧めは3つの島巡り(Isola Bella - Isola Madre -  Isola dei Pescatori).

どの島も5分位で着くほどの距離間で、船酔いする間もない。島と島を繋ぐボートは30分毎に出る。

Isola dei Pescatoriは唯一住民がいる島で、レストランの数も多い。 

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ボート乗り場のすぐ前にRistorante La Pescheria(写真右)がある。気になっていた店だが月曜日は定休日らしい。

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お土産屋さんも充実しており、ショッピングも楽しめます。 本屋ではこのマッジョーレ湖出身の作家Piero Chiaraの本が並ぶ。私はアンティークポスターに惹かれ、3枚程購入。

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小さな島ですから、1周15分程で歩けてしまう。2周ほど散策した後、パノラマの良い、落ち着いた雰囲気のRistorante Belvedereを選んだ。 

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パスタはマッケローニのオリーブ、ツナのソースに、川魚のパン粉をまぶしたグリル、ドルチェはmille foglie フルーツたっぷりミルフィーユ。ワインは良く冷えたアルネイス。

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次はIsola Bellaへ。    

本当に小さな島で、見応えは素晴らしい庭園である。16世紀に購入した

貴族CarloⅢBorromeeが奥様のIsabellaの名前を付けて、Isola Bellaと呼ばれる。

17世紀に入ってこの建物とお庭を造った。

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この階段は藤棚がとても美しい事で知られる。

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Piazza Lidoに戻り、このまま車で20分程の場所にあるもう一つの湖 Orta San Giulioへ。

Stresaはやはり観光客が充実しており、賑わっていましたが、Ortaの方は落ち着いた印象。

後で地元のワイナリーの人に聞くと、Ortaの方が観光客の食文化レベルが高いそうで、Gattinara,Ghemmeのワインも好まれるそうです。 確かにミシュランのレストランもOrtaですね。

次はOrtaへ⇒

16/5/2016  kyoko Matsuyama

2016年6月 9日 (木)

西村先生よりご紹介~秋場美恵子/『文流サローネ』 No.79(2016年3月5日) 

 

 今年2016年は日本とイタリアの間で始めて修好通商条約が結ばれてから150周年になります。イタリアから最初に日本を訪れたのはキリスト教の宣教師達でしたが、両国の間に正式な条約が結ばれたのは江戸幕府が瓦解する直前の1866年のことでした。イタリアもその5年前の1861年に念願の統一を果たしたばかりでしたが、欧州の蚕の病により崩壊寸前に陥った北伊の絹糸産業を救うため日本から良質の蚕種を入手することが早急に必要とされていたのです。

 こうした事情からイタリア政府は日本および中国との間に修好通商条約を結び、併せて現地の実情を文化社会から自然科学にいたるまで広く調査するために一隻の軍艦「マジェンタ号」の派遣を決定します。そしてその指揮を任されたのが海軍中佐のヴィットリオ・アルミニョン(Vittorio Francesco Arminjon, 1830-1897)でした。

 アルミニョンは当時35才、イタリア王家発祥の地サヴォイア(現仏領)の出身でジェノヴァ王立官軍学校を卒業、故郷サヴォイアが伊仏間の条約でフランス領となるに従い仏海軍に所属しますが、イタリア王国成立と共に伊海軍に復帰、フリゲート艦、戦艦艦長、海軍砲術学校長を務め、砲術の優れた著作もあり数ヶ国語に堪能で人格も認められたイタリア海軍きっての秀才でした。当時の外務大臣ラ・マルモラと海軍長官アンジョレッティはそんなアルミニョンに白羽の矢をたて、万国の人民を尊ぶ新生「イタリア」の旗を世界に初めて掲げるに恥じぬ自由と独立と無私の精神を持って極東での修好通商条約を締結してくるよう激励、併せて自然科学の研究成果を目指す大航海を命じます。こうしてアルミニョンは艦長(兼)全権という前例のない大任を受け、著名な自然科学、動物学者のデ・フィリッピ、ジッリオーリ両教授を伴い1865年11月8日ナポリからまず南米のモンテヴィデオ(ウルグアイ)に向い、そこから翌年2月2日にマジェンタ号乗組員345名とともに登用を目指して出航します。

 地理・貴校及び風雲はらむ日本の政情を熟考の上、一路バタヴィア(ジャワ)、シンガポール、サイゴンを経由して遂に下田沖に到ったアルミニョンとマジェンタ号が「水平線上の雲の上にそびえる荘厳なFuji-yama」を目にしたのは1866年7月4日のことでした。それから幕府と約一ヶ月半の交渉を経て8月25日に日伊修好通商条約を調印、11月には中国とも条約締結、通算2年をかけ世界一周を果たした後1868年の春ナポリ港に帰還します。そして翌1869年には条約の交渉過程と日本事情をまとめた労作「日本及びマジェンタ号の航海記」”Il Giappone il viaggio della corvetta Magenta nel 1866.” Genova. Co’ Tipi del R.I. dei Sordo-muti, 1869[1]がジェノヴァ王立聾唖学院から出版され、歴史的価値ある優れた著作として地理学協会から金メダルを授与されます。アルミニョンは生涯それを大変誇りにしていたと言われます。

 さて肝心の日本との条約ですが、まずアルミニョンはナポリ出航前に日本初となる幕府の横須賀製鉄所建設交渉でパリ滞在中だった外国奉行・柴田日向守剛中を訪ね挨拶しています。そして絹糸産業の危機的状況からイタリアが日本の助力を必要としていることを虚心に明かし、純粋に友好と通商を求めて来航予定でいる旨を説明するのです。更に「日本を西洋に紹介したのは一人のイタリア人であった」とマルコ・ポーロから説き、両国の共通点も挙げて日本の美術品には感嘆したと語るアルミニョンの偏見のない態度は細謹な柴田にも好印象を与え、一年後に日本で修好通商条約を締結する2人は出会った初日から一時間も話しこむ程意気投合できたのでした。「柴田と面識のなかった私であるが、今や私は彼の友人(Suo amico)である」きっぱりと述べるアルミニョンからは当時圧倒的な武力を背景に高圧的な態度で日本に臨んでいた列強の公使達とは全く異なる人間性が感じられます。更に彼は海軍図書館から借り出したり自費で集めた日本に関する文献を長い航海中に読破、日本の歴史や文化をしっかりと学んだ上でパリ以来友と頼む幕府側代表の柴田日向守と念願の再会を果たすことになります。「私は友情こめて柴田と握手を交わし、再会できた事を喜ぶとともにパリで論じたと同じ問題について再び話し合うことができるのを満足に思う」と述べた。

 イタリア海軍の軍服のアルミニョンと和装の柴田日向守の江戸再会には心温まるものがありますが、幕府側では基本的には新たな条約締結謝絶の方針であり、折しも母国イタリア・オーストリア間の戦争開始が報じられる中、アルミニョンは密かにマジェンタ号の安全と交渉の行方を憂慮します。しかし「数年前に統一なった意太利國[2]は欧羅巴でも屈指の文武の誉れ高いお国柄、仏との関係もあり即今条約を結んでも日本の損にはならぬ故御英断を」彼と会い実際に交渉に当たっていた柴田他7名の外国奉行達が評議の上揃って声をあげます。同盟国フランスと強調しつつも人種や国籍に拘らず相手を尊重し常に友好的な姿勢で交渉に臨んだ全権アルミニョンの誠意あふれる人間性が外国奉行達を動かしたのでした。

 こうして遂に8月25日江戸大中寺にて幕府側代表柴田日向守、朝比奈甲斐守、牛込忠左衛門(目付)、伊全権アルミニョンの間で日伊修好通商条約が和やかな雰囲気の中で調印されます。奇しくも14代将軍家茂が亡くなる4日前のことでした。「貴殿はわが国の置かれている困難な状況を良く認識せられ、われわれの譲与しうる以上のことを要求されなかった。我々はこのことに深く感謝している。貴殿の誠意ある態度は今後両国間には常に協調関係がありうることを我等に確約するものである。」調印後そう繰り返した柴田達の言葉を2年後ジェノヴァに帰還したアルミニョンは控えめな矜持をこめて書きしるしています「この言葉は私の胸(animo)を深く感動させた。私はこの言葉を信じたし、今もそれが心からのものであると信じている。日本人の心はフランシスコ・ザビエルの当時と少しも変ってはいない。」アルミニョンが柴田達と交わした信頼と友情はその後多くの人々に受け継がれ、第二次世界大戦中に両国がファシズムに陥るという歴史の荒波をも越え、今150年の日伊文化交流の花を豊かに咲かせるに到っています。



[1] 邦訳は「伊國使節幕末日本記」田沼利男氏訳 三学書房/「イタリア使節の幕末見聞記」大久保昭男氏訳 講談社学術文庫

[2] 「続通信全覧」より

2016年6月 7日 (火)

当IVSJapan恒例のイベント「イタリア共和国記念パーティー」が
広尾『アンティキ サポーリ』で開催されました。 

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前代表の故川手さんがプロデュースされたワインを含めて11種類他を皆さんにテイスティング頂きました。お好みのワインに出会えましたでしょうか。

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今回のワインはモンテ物産(株)、アプレブトレーディング(株)、アビコ(有)様のご協力で、イタリアは北から南までスプマンテ、白、赤といろいろ幅広くご提供させて頂くことが出来ました。

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西村先生(この会の監事でもあります)からは、今年日伊通商条約が始まって150周年という歴史を語って頂き、この時代の外交は相手国に対し、尊敬の念を持ち、相互に謙虚であったことで、とても旨く行っていた、このような理想的な外交を今の時代に期待したいというお話を頂戴しました。

また、馬場先生(スローフード協会)に乾杯の音頭を取って頂き、更に、広田様(ピアノ製造&調律士で東日本大震災の震災ピアノの復元に貢献なさった方)には『千の風になって』をご披露頂き、途中川手さんへの想いで一杯になられていらっしゃいましたね。

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それから、ワインを最初から最後までサービスしてくださった竹平ソムリエ、ワインクイズで盛り上げてくださった瀬戸さん、皆さまのご支援で本当に温かい会が開催でき、ここに感謝申し上げます。

来月からのLunch Time Tasting会も盛り上げて参りますので、皆様もご参加お待ちしております。   

(K.M)