2019年10月24日 (木)

10月のDinner Time Tasting レポート~シチリア・エトナワイン~

10月のディナータイムテイスティングを元住吉の名店『Osteria Boccano』にて開催いたしました。
 

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テーマ:シチリア エトナワイン

エトナとは、イタリア・シチリア島の東部にある、ヨーロッパ最大の活火山とその周辺を指します。
南のイメージのあるシチリア島にあるため、パワフルでフルーティーなワインと思われがちですが、エトナのワインはそうではありません。

ミネラルをたっぷりと含んだ火山灰土壌に、昼夜の温度差が大きい冷涼な気候、そして何よりもフィロキセラに侵されていない樹齢の高いブドウの樹がある。
なぜならば、シチリアの東側(パキーノ)は、ドライトマトで有名になり多くの農家がブドウからトマトへ植え替えをしたが、エトナは標高が高くトマトが育たないことでブドウの樹がそのまま残ったので、今では100年以上の古木が存在します。
多くのぶどう畑は、段々畑で石垣があり、株仕立て(アルベレッロ)で密植して植えてあり、強い日差しと強風に適したものになっており、また、唯一無二のテロワールから、エレガントで繊細な味わいのワインが造られています。
DOCエトナを区分すると北側は、黒ブドウの産地。東側(半島側)は、雨が多く白ブドウの産地。南東側は、また、黒ブドウの産地。
エトナワインは、カターニャ町に近い南エトナから始まっており、古くからの生産者が多く、北側は、新しい生産者が進出して、その比率は、北が65%で南19%、その他は東側。北側が人気がありますます北が高くなる。
しかし、エトナの伝統は、南エトナのワイン。
ワイン業界において、テロワールがワインに対して如何に表現できるかを注目しています。
そこで、今回は単にDOCエトナの白、赤ではなく、特に赤に関して北エトナの中でコントラーダ(コミューン)に注目してワインセレクトをしました。

Randazzo  ---------------  Castiglione di sicilia  ------------  Linguarossa
火山性が強い         火山性が弱く標高が高い            若干の火山性がある
→苦みや鉄ぽいミネラル    →エレガント           →多少軽め

 ※土壌的に上記ですが、造り手によっては異なることもある。

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今回のコントラーダの特徴は、以下のもの
カスティリオーネ ディ シチリア地区
グアルディオーラ:標高が高く、フラワリーで厳格な緊張感のある味わいになる
サント スピリト:女性的で魅惑的な味わいになる
ランダツィオ地区
カルデラーラ・ソッターナ:全て良いとこ取りをした力強く長期熟成に向く味わいになる。

<ドゥーカ・ディ・サラパルータ社>
ワイン愛好家だったヴィッラフランカと、神聖ローマ帝国、スペイン王国の君主であり、シチリア西部内陸の街、サラバルータの公爵でもあつたジュゼッペ・アッリアータは、自分の館で客人をもてなすために、カステルダッチャのコルヴォ地区にある所有地で栽培されたブドウを使ってワイン造りを始めました。
3代目当主のエンリコ公は、フランス・ボルドーで醸造技術を学び、掃国後には最新設備の導入やフランスからの専門家の招聘などを通してコルヴォワインの品質を飛躍的に高めた。
1984年に誕生したワインですが、当時では初となるネーロ・ダーヴォラ100%で造り、誰もがネーロ・ダーヴォラ種がシチリアの中心的品種である確信していた。

IVSJapanの創設者である川手氏がいち早くこのコルヴォのワインを日本へ紹介した。

<クズマーノ>
クズマーノ社は、新しく2000年に創業したばかりの造り手ですがその品質とコストパフォーマンスの高さで非常に人気があるワイナリーです。兄のアルベルトと弟のディエゴの2人の兄弟によって運営される同社はシチリア内に8カ所のブドウ畑を所有。『シチリアは大陸である』という彼らは、それぞれの土地のテロワールを生かしたブドウを栽培し、地ブドウには大きな樽、外来品種には小樽を用いるなど伝統を大切にしながらもチャレンジし続ける将来が楽しみなワイナリーです。


<テッレ ネッレ>
バローロボーイズの仕掛人であるマルコ・デ・グラツィアとセバスティアン・デ・グラツィアの両氏が惚れ込んで自ら購入したところが、エトナ火山の北方斜面に位置する畑。フィロキセラに犯されていない、非常に樹齢の高いブドウの樹を見つけることの出来る唯一の土地でもあった。
TERRE NERE(テッレ・ネーレ)とは『黒い土壌』という意味であり、岩石のごろごろした火山灰土壌で黒いことから命名。
エトナ山の50万年以上に渡る噴火活動の結果、非常に多様で特殊な土壌を得たこの一帯は、ブルゴーニュ地方に良く似て、畑による特徴。



【ワインリスト】
①ワイン名:デューカ・ディ・サラパルータ・ブリュット  NV  12% 
メーカー:デューカ・ディ・サラパルータ社
産地:シチリア州
ブドウ品種:モグレカニコ55%、シャルドネ45%
醸造:標高550m以上の石灰を含む混成土壌の畑で8月末、9月1週目に手摘みで、酸度を保ったブドウを早摘み。ソフトプレス後、初期の良質なモストのみ低温発酵。シャルマ方式発酵し、
   シュール・リーで6ヶ月熟成。その後、3ヶ月以上の瓶内熟成。 
特徴:輝きのあるグリーンを帯びたストローイエロー。マスカットの華やかな香り、フローラルな香りに食パンのようなイースト香も
   味わいは、さわやかな果実味と酸味のバランスが非常によく、透明感があり切れがある辛口なスパークリングワイン。
料理:アペリティーヴォ、オレンジのサラダ、タコのマリネ。

②ワイン名:アルタ・モーラ エトナ ビアンコ  DOC 2018 12.5% 
メーカー:クズマーノ社
産地:シチリア州 カスティリオーネ ディ シチリア地区
ブドウ品種:カリカンテ主体 その他複数の土着品種 平均樹齢は15年
醸造:標高600mの畑のぶどうを手摘みで収穫後、ソフトプレス。18~20℃で発酵、シューリーを4か月、瓶詰して出荷。
特徴:グリーンを帯びたストローイエロー色。白桃、洋ナシ、アカシヤの蜂蜜の香りと華やかなフレッシュな香り。
   味わいは、軽快な果実味と伸びやかな酸が豊富で、後味に苦みやミネラルを感じる透明感のある白ワイン。        
料理:アンティパスト、魚介類のリゾットやパスタ、レモンをかけて食べる料理、天ぷらなど。

③ワイン名:エトナ ロッソ サント スピリト DOC 2017  14.5%
メーカー:テッレ ネーレ社
産地:シチリア州 コントラーダ:サント スピリト カスティリオーネ ディ シチリア地区
ブドウ品種:ネレッロ マスカレーゼ 98% ネレッロ カプッチョ 2%  樹齢は40~100年
醸造:標高700~750mの北斜面にある畑のぶどうを10月中旬に手摘みで収穫し、28~30℃で発酵し、自然発生的なMLFを行い、フレンチオークとトノーで16~18か月熟成、ステンレスで1か月澱引き
フィルターせずボトリング。
特徴:チェリーレッド。チェリー、スミレなどのフローラルな香り、甘草、シナモン、コショウ、紅茶、若干火山の土っぽいような香り。
   味わいは、ソフトな口当たりで、凝縮した果実味と極め細かなタンニン、適度な酸味、エレガントで華やかな女性的な辛口赤ワイン。
料理:アランチーノ、カポナータ、羊のチーズに合わせる。

④ワイン名:アルタ・モーラ エトナ ロッソ グアルディオーラ DOC  2014   14.0% 
メーカー:クズマーノ社
産地:シチリア州 コントラーダ:グアルディオーラ カスティリオーネ ディ シチリア地区
ブドウ品種:ネレッロ マスカレーゼ 100% 
醸造:標高800~1000mの畑のぶどうを10月下旬に手摘みで収穫し、除梗、ソフトプレスの後、28℃でマセラシオンを18日から21日間行い、
   MLFは木樽にて行う。その後2500リットルの大樽とトノー(中樽)で熟成。
特徴:チェリーレッド。チェリー、スミレ、華やかな香り、リコリスなどハーブの香り、ヨウド、コショウ、複雑な香り。
   味わいは、熟成からか優しい口当たりで、まだ果実味と伸びやかな酸がしっかりとあり、きめ細かなタンニンがありしっかりした骨格がある辛口赤ワイン。
料理:パスタ・アッラ・ノルマ、スモークしたサラミ、野ウサギのローストに合わせる。

⑤ワイン名:エトナ ロッソ カルデラーラ ソッタナ DOC 2017  14.5%
メーカー:テッレ ネーレ社
産地:シチリア州 コントラーダ:カルデラーラ ランダツィオ地区
ブドウ品種:ネレッロ マスカレーゼ 98% ネレッロ カプッチョ 2%  樹齢は50~100年
醸造:標高600~650mの北斜面にある畑のぶどうを10月初旬に手摘みで収穫し、28~30℃で発酵し、自然発生的なMLFを行い、フレンチオークとトノーで16~18か月熟成(新樽25%)、ステンレスで1か月澱引き
フィルターせずボトリング。
特徴:ルビーレッド。チェリー、スミレ、ドライローズ、甘草、シナモン、クローヴ、黒コショウなどのスパイスにカカオの香りで複雑だが熟成香はない。
   味わいは、若々しく力強い口当たりで凝縮した果実味と豊富で極め細かなタンニン、土壌から鉄っぽさがあり、芯が太い骨格のある辛口赤ワイン。
料理:ラグーンソースのパスタや、肉料理、少し熟成がすすんだチーズ。

【ワインに合わせたお料理】

<Amuse> zeppoline di alghe 青のりのゼッポレ

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<Antipasto> Carpaccio d'Orata e Bottarga 鮮魚のカルパッチョ シチリア産ボッタルガがけ

<Antipasto Caldo> Macco di fave 空豆のスープ ブロッコリーのアーリオオーリオ乗せ

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<Primo> Bucatini alla Norma ブカティーニ ノルマ風 (茄子とペコリーノのトマトソース)

<Secondo> Involtini di Maiale al Marsala 沖縄産ロイヤルポークのインボルティーニ マルサラ風味

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ご参加者の皆様と、ボッカーノのオーナー野口さん、芥川シェフ

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秋はワインに関するイベントが豊富です。

IVS Japan も、10/26のLTT、11/3の8周年記念パーティー、11/10のDTTと予定しております。次回もご期待下さいませ。

(IVS Japan事務局)


■■■ 10月DTT ディナータイムテイスティング 

 テーマ:シチリア エトナのワイン
 
 人数限定、一夜限りのIVSディナーイベントを開催致します!
 会場は本場仕込みのイタリアンを提供してくれる元住吉の名店『Osteria Boccano』オーナーシェフ野口さんのセンスが光る、各ワインに合せたお料理をお楽しみ下さい。
 
 
【日程】10月23日(水)19302130  
 
【場所】Osteria Boccano(元住吉 )

【会費】IVS会員: 9,000円 ビジター:10,000円