2017年4月 6日 (木)

3月Dinner Time Tasting~イタリアワインの多様性・DOCG編

3月29日(水)のDinner Time Tastingは初めて元住吉Osteria Boccanoにて開催致しました。

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テーマ:イタリアワインの多様性~DOCG基本編~

イタリアワインの多様性があるといわれるのには、以下の要素が大きく影響されると考えられる。
ヨーロッパ(フランス)と比べて、イタリアは、3つの海に囲まれている。標高の高い山があり、風が吹く。
山:アルプス、イタリア半島の背骨といわれるアペニン山脈、シチリア島まで続く
海:アドレア海、テレニア海、イオニア海
風:アルプスからの冷たい風、アフリカ大陸からの熱い風(シロッコ)、海からの風


今回は、ブドウ産地の気温と降雨量を比較してみます。
その前に、1年間のブドウ育成について触れます。
北半球で考えますと
1月、2月:ブドウの樹は休眠中 <=剪定
3月~5月:発芽 (10℃を超えると萌芽)、展葉
     ※この時期に雹が降ると新芽や葉にダメージが起こり発育不良
6月、7月:開花 (開花から7日間で結実)
     ※この時期に雨が降ると花ぶるいが起こり結実不良
8月、9月:果粒肥大、色づき、成熟
9月、10月:収穫 (開花から約100日で収穫 ※開花が早く成熟が遅いものもある。アリアニコなど)
11月、12月:落葉、休眠

ブドウの発育には、以下の温度と雨量がよいとされています。
気温は、年平均気温10~20℃ ただし、ワイン用10~16℃
    開花期15~25℃、
    着色、成熟期は、20~25℃かつ日中寒暖差が大きい
日照量は、1300~1500時間(開花から収穫までの約100日間) 緯度が高い方のが有利(太陽が沈むのが遅い)。
降雨量は、年間降雨量500~900mm 日本1000~1200mm

今回の産地(北から南へ)
ピエモンテ州(トリノ):5番目のワイン:バローロ
 年平均気温11.8℃、年間降雨量917 mm
 発芽時の平均気温11.5℃
 着色、成熟期3か月の平均気温17.2℃、平均寒暖差10.3℃
ロンバルディア州(ミラノ):1番目のワイン:フランチャコルタ
 年平均気温12.5℃、年間降雨量944 mm
 発芽時の平均気温12.3℃
 着色、成熟期3か月の平均気温18.2℃、平均寒暖差10.3℃
ヴェネト州(ヴェローナ):6番目のワイン:レチョート・ディ・ソアーヴェ
 年平均気温12.6℃、年間降雨量822 mm
 発芽時の平均気温13.6℃
 着色、成熟期3か月の平均気温16.7℃、平均寒暖差10.7℃
トスカーナ州(フィレンツェ):3番目のワイン:キアンティ・クラッシコ
 年平均気温14.6℃、年間降雨量912 mm
 発芽時の平均気温13.5℃
 着色、成熟期3か月の平均気温20℃、平均寒暖差12.7℃
カンパーニア州(ナポリ):2番目のワイン:フィアーノ ディ アヴェッリーノ
          4番目のワイン:タウラージ
 年平均気温15.4℃、年間降雨量1007 mm
 発芽時の平均気温14.8℃
 着色、成熟期3か月の平均気温19℃、平均寒暖差10.7℃

ちなみに
フランスボルドー
 年平均気温12.5℃、年間降雨量897 mm
 発芽時の平均気温11.8℃
 着色、成熟期3か月の平均気温16.8℃、平均寒暖差11.0℃
フランスブルゴーニュ
 年平均気温10.6℃、年間降雨量732mm
 発芽時の平均気温10.1℃
 着色、成熟期3か月の平均気温15.7℃、平均寒暖差10.0℃
日本北海道余市
 年平均気温7.9℃、年間降雨量1353mm
 発芽時の平均気温5.7℃
 着色、成熟期3か月の平均気温16.3℃、平均寒暖差10.0℃
日本山梨県勝沼
 年平均気温14.5℃、年間降雨量1081 mm
 発芽時の平均気温13.2℃
 着色、成熟期3か月の平均気温21.9℃、平均寒暖差10.3℃
日本長野県佐久
 年平均気温11.1℃、年間降雨量961 mm
 発芽時の平均気温9.3℃
 着色、成熟期3か月の平均気温18.9℃、平均寒暖差10.7℃
日本神奈川県横浜 ワイン産地ではないが
 年平均気温16.1℃、年間降雨量1689 mm
 発芽時の平均気温14.1℃
 着色、成熟期3か月の平均気温23.1℃、平均寒暖差6.4℃

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※画像をクリックで拡大します。



今回はワインでどれがお好きですかのアンケートをしました。

(投票は1人6回まで。22名の参加者でしたので、ワイン名の隣に人気度を記述しました。)


【今回のワインリスト】
①ワイン名:フランチャコルタ・ブリュット NV DOCG 人気度(7/22名)
メーカー:ラ・モンティーナ社
産地:ロンバルディア州
ブドウ品種:シャルドネ85%、ピノ・ネロ15%
醸造:繊細で丁寧なプレスした複数のヴィンテージの異なるキュベから造られます。ボトル詰め後 約30ヶ月間発酵熟成。 12.0%
特徴:輝く麦わら色。柑橘系、洋ナシの果実の香、白い花の香りとイースト香り。
   きれいな酸味があり余韻も長くエレガントな味わいの辛口スパークリングワインです。
料理:アンティパスト、シーフード料理に合わせる

②ワイン名:フィアーノ ディ アヴェッリーノ 2014 DOCG 人気度(5/22名)
メーカー:トッリチーノ社 (アツィエンダ・アグリーコラ・トリッチーノ)
産地:カンパーニア州
ブドウ品種:フィアーノ100%
醸造:収穫は10月始めに行われる。醗酵はステンレスで行い16~18度で25~35日と長めに行う。熟成もステンレスで行い、瓶詰後翌年の春頃から出荷。 13.0%
特徴:輝きのある明るいレモンイエロー。洋ナシや温度が上がるとトロピカルフルーツの香り。
   味わいは柑橘系フルーティーさとミネラル、苦みもあり、フレッシュさがアフターテイストまで残る辛口白ワイン。
料理:春野菜のフリットや魚介料理に合わせる。

③ワイン名:キアンティ・クラッシコ 2014 DOCG 人気度(19/22名)
メーカー:テヌータ・ディ・ビッビアーノ社
産地:トスカーナ州
ブドウ品種:サンジョヴェーゼ97%、コロリーノ3%
醸造:ブドウは通常9月後半から収穫を始める。セメント製の発酵槽の中に果皮や果肉ごとブドウ果汁を入れて約20日間発酵。続いてセメント製の発酵槽の中で熟成させた後、瓶内で3ヶ月熟成。 13.5%
土壌は、アルベレーゼと呼ばれる非常に粒が細かくぎっしりと詰まった石灰石の土壌と、ガレストロと呼ばれる砂利もしくは石を含んだ石灰質に富む粘土質土壌。
特徴:鮮やかなルビーレッド色からガーネットも出はじめている。チェリーやプルーンの熟した果物の香りとスミレのフローラルな香り、シナモンの香りもあり複雑である。
   活き活きとしたほどよい酸味とシルキーなタンニンを持ち、ミネラルもありエレガントでバランスのとれた赤ワイン。
料理:サラミなどの前菜、チーズ、イノシシ肉のハーブと赤ワイン煮込みに合わせる。

④ワイン名:タウラージ 2011 DOCG 人気度(15/22名)
メーカー:スクオット社
産地:カンパーニア州
ブドウ品種:アリアニコ 100%
醸造:ブドウは、樹齢15~20年で手摘みの収穫、醸造は225lのバリックで12か月。瓶内熟成24ヶ月。  14.0%
特徴:濃いルビーレッド。ドライのイチジクやブラックチェリー、白コショウの香り。
   凝縮した果実味と酸とのバランスがとれ、きめ細かいタンニンとスパイシーさも加わり複雑な味わいの赤ワイン。まだまだ若い。
料理:ジビエのローストや肉のグリルに合わせる。

⑤ワイン名:バローロ 2011 DOCG 人気度(14/22名)
メーカー:デマリエ社
産地:ピエモンテ州
ブドウ品種:ネッビオーロ 100%
醸造:マセラシオンを長めに行い、ステンレスタンクでアルコール発酵。その後2年間60~80hlのスロベニアオークの大樽で熟成。瓶熟は最低6ヶ月間。
   サンタマリア・ディ・ラ・モッラ地区の標高210メートル。南西向きの日当たりの良い斜面で石灰粘土質土壌。 14.0%
特徴:輝きのあるルビーレッドでガーネットも出はじめている。スグリ、レーズン、タバコ、ドライローズのフローラルな香り。
   凝縮した果実、シルキーなタンニン。骨格がしっかりとしたバランスのとれた味わい。余韻にも熟した果実の香りが残るエレガントな赤ワイン。まだ若い。
料理:牛肉、ジビエ、熟成したチーズに合わせる。

⑥ワイン名:レ・コロンバーレ レチョート・ディ・ソアーヴェ 2011 DOCG 人気度(14/22名)
メーカー:ピエロパン社
産地:ヴェネト州
ブドウ品種:ガルガーネガ 100%
醸造:完熟度が最も高く健全な果粒のみを選び、丁寧に手摘みで小ケースに収穫し乾燥室に運び、収穫年度の翌年春先まで自然の気候条件の下、乾燥させる。
   除梗、ソフトプレスし2500lのガラスで内張りしたセメントタンクで14~18℃に調整し、アルコール発酵。2500lのオーク樽に移し替え、約2年間熟成。
   瓶熟は最低6ヶ月間。 優良年のみ造られる 12.5%
特徴:琥珀色に近い黄金色。熟した果実、ドライアプリコット、蜂蜜の香り。
   きれいな酸味もあり心地よい甘味が余韻にもつながり、うれしくさせる魅惑的な甘口白ワイン。
料理:アーモンドなどナッツを使用したデザート、ジェラート、青かびチーズに合わせる。

(瀬戸)

【今回のお料理】

Amuse : Insalata di nervetti 仔牛アキレスのサラダ仕立て~サルサヴェルデ

フランチャコルタと。

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Antipasto : Antipasto misto alla Campania カンパーニアの前菜の盛り合わせ 

白ワイン1本目のフィアーノに合わせて。

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Primo(1): Pappa al pomodoro con porpetta di pollo パッパアルポモドーロ 大山鶏のポルペッタ添え

Bibbianoのキャンティ・クラシコ2014と合わせる

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Primo(2): Sartù di riso サルトゥ ナポリ風お米のティンバッロ

タウラージと合わせて。

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Secondo: Brasato di manzo al Barolo ピエモンテ風~国産牛ほほ肉のバローロ煮込み

非常にエレガントな、デマリエのバローロと。

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お世話になったオーナーシェフ野口さん(左)とボッカーノの皆さん

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IVS Japan法人会員でもあるボッカ―ノの野口シェフの素晴らしく贅沢な内容のメニューとワインを皆様で堪能致しました。皆様、ご参加誠にありがとうございました。

IVS Japan事務局