2017年3月16日 (木)

3月のLunch Time Tasting~トスカーナ州のワイン第2弾

【テーマ】:トスカーナ州のワイン第2弾

マレンマ、モンテクッコ周辺とヴィーノノービレ

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今月は、先月の「①キアンティDOCG、②キアンティクラシコDOCG、④ヴェルナッチャ・ディ・サンジュミニャーノDOCG 」より海側の産地のワインの飲み比べになります。

海からの影響がワインにどのような風味を与えるのでしょうか。

【気候】
海岸部:今月のマレンマ地方は非常に暑いが、内陸部のスカンサーノ、ビティリアーノでは昼夜の温度差があり、やや冷涼。海風と内陸からの風の組み合わせが、丘陵地にそれぞれの微気候をつくりだしている。


内陸部:先月のキアンティやキアンティ・クラッシコ地区も比較的冷涼。今月のモンテプルチアーノ地区は、モンタノンチーノに比べ、ティレニア海の影響を受けないため冷涼である。

【産地】

・マレンマ トスカーナDOC
マレンマ地方は、ティレニア海に近い西トスカーナのグロッセート郊外(トスカーナ南西部)から南のラツィオ州にかけて広がる地域です。
=>マレンマ・トスカーナDOCには、ボルゲリは含まれない。

1980年代頃から次第に注目され始めましたが、よく名前を聞くようになったのはここ10年くらいでしょうか。

元々は大きな湖を含む湿地帯で、20世紀に入ってからムッソリーニによって干拓されましたが、未開墾や休耕地が多い土地でした。

しかし、それが逆にブドウを植え替えたり、新しく植えたりするのに好都合となったようです。
特に、アンティノリ、フレスコバルディ、ガヤといった著名生産者らがマレンマに進出したことで新生産地としての注目度が高まりました。

・モレッリーノ・ディ・スカンサーノ(Morellino di Scansano)
グロッセート県、南部グロッセート近郊にあり、粘土比率が高い土壌である。
80年代以前はブレンド用のワイン産地であったが、2006年、モレッリーノ・ディ・スカンサーノDOCGとして認定。
サンジョヴェーゼ(サンジョヴェーゼのクローン:モレッリーノ種): 85%以上。
その他、トスカーナ地方の推奨品種/許可品種のアロマ付きでない黒ブドウを15%まで使用することができます。

・ヴィーノ・ノービレ・モンテプルチアーノ(Vino Nobile di Montepulciano)
シエナ県にあり、内陸に位置し気候的に厳しい産地のため、古くからワインは造っているがプルニョーロ・ジェンティーレ種(サンジョヴェーゼ)100%では難しい。そのため、プルニョーロ・ジェンティーレ種(サンジョヴェーゼ)70%以上で他の品種を混醸している。
ブレンド品種としてカナイオーロ・ネロは20%までで、サンジョヴェーゼを和らげる役目をしている。
その他品種も20%までで、今回のワインは、「コロリーノ種」で色調を補う役目、「マンモーロ種」でスミレの香りを加える役目をしている。
これらの品種がブレンドされている。
土壌は、ガレストロ(泥灰土がミルフィーユのように何層にも重なった土壌)と粘土質である。
近年、地球温暖化の影響でプルニョーロ・ジェンティーレ種のみで造れるようになってきている。再度、注目されてきている産地である。

余談として国際品種、新樽小樽熟成等DOC法の規則にとらわれない品質向上のための製法で造られた最高級ワインを造りたいという生産者、ジャコモ・タキス氏、カルロ・フェリーニ氏、ルカ・ダットーマ氏等フランスの醸造技術を知りつくした有名エノロゴが台頭しスーパータスカン(Super Toscana)と呼ばれるVdT(ヴィノ・ダ・ターボラ)やIGTという格付けでありながら、高品質のワインを造った。
1992年 IGTというカテゴリを設けた。
1994年 ボルゲリDOCの規定変更が行われた。
それまでは、白とロゼが認められていたが、CS、M、Sgを用いた赤も認可した。
また、サッシカイアをボルゲリのサブゾーンとして単独でDOCに認可した。
先駆者的存在のテヌータ・サングイード社のサッシカイア(カベルネ・ソーヴィニヨン)
オルネッライア社のマッセート(メルロ)
アンティノッリ社のティニャネッロ(サンジョヴェーゼ主体+カベルネ・ソーヴィニヨン)

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【本日のワインリスト】

①ワイン名:サンジェルヴァジオ ローザ エクストラ ドライ スプマンテ NV IGT
メーカー:サンジェルヴァジオ社
産地:トスカーナ州
ブドウ品種:サンジョヴェーゼ 100%
醸造:樹齢平均10年の有機栽培でのサンジョヴェーゼを使用して、セメントタンクで発酵後、シャルマ方式で約1か月の2次発酵
   瓶熟3か月。4.5気圧 11.5%
特徴:鮮やかなピンク色。赤系ベリーの果実の香、塩味のミネラルを感じる香り。
   活き活きとした甘さが残る果実味と酸とのバランスが取れた辛口のロゼ スプマンテです。
料理:アンティパスト、シーフード、ピッツァに合わせる

②ワイン名:マレンマ・トスカーナ・ヴェルメンティーノ 2015 DOC
メーカー:テヌータ・サッソレガーレ社
産地:トスカーナ州
ブドウ品種:ヴェルメンティーノ 100%
醸造:ブドウは9月上旬に収穫。ステンレスタンクで発酵。ステンレスタンク5か月間のシュールリーして造られる。 13.5%
特徴:輝きのある緑がかった麦わら色。粘性は中程度。華やかなレモン等の柑橘の果実香が主体。タイムやローズマリーなどのハーブ香り。
味わいは豊かな果実味と伸びやかでしっかりした酸味を持ち、塩味のミネラルと若干の苦みが料理と合わせやすい白ワイン。
料理:アンティパスト、シーフード、焼鳥(塩)や豚料理に合わせる。

③ワイン名:マレンマ・トスカーナ・サンジョヴェーゼ 2014 DOC
メーカー:テヌータ サッソレガーレ社
産地:トスカーナ州
ブドウ品種:サンジョヴェーゼ 100%
醸造:ブドウは9月中旬から下旬に収穫。ステンレスタンクで発酵。その後全体の70%をスラヴォニア産大樽で、30%を旧樽のバリックで熟成させ造られる。13.5%
特徴:若干淡いルビーレッド色。中程度の粘性。野イチゴやダークチェリーのような果実の香り、スパイスの香りも合わせ持つ。
味わいはふくよかで豊かなる果実味を持ち、やわらかな酸味と程よいタンニン分が口の中で一体となり、みずみずしい爽快な赤ワイン。
料理:生ハムやサラミなどの前菜、焼鳥(たれ)に合わせる。

④ワイン名:モレリーノ ディ スカンサーノ 2014 DOCG
メーカー:アイアヴェッキア社
産地:トスカーナ州
ブドウ品種:サンジョヴェーゼ 100%
醸造:畑は、マリアーノ イン トスカーナにあり、発酵後。ステンレスタンクで熟成。 13.0%
特徴:ルビーレッド。プラム、すみれのフローラルな香り。
   活き活きとした酸味と果実味のバランスがよく、緻密なタンニンでやさしく軽快な味わいの赤ワイン。
料理:肉料理、ピッツァ、パスタに合わせる。

⑤ワイン名:ヴィーノ・ノビレ・モンテプルチアーノ 2012 DOCG
このラベルに描かれている人はメディチ家の親戚にあたり、メディチ家の中でも一番賢く教養があることで知られているMargherita de' Medici(1612-1679)と深い絆で結ばれていたといわれる人で、名前は不明だそうです。この肖像画が選ばれた理由は、この肖像画のように歴史を感じさせ、さらに気品と教養を感じさせるインパクトあるワインを表現するため、ということです。
メーカー:ファットリア・デル・チェッロ社
産地:トスカーナ州
ブドウ品種:プルニョーロ・ジェンティーレ(サンジョヴェーゼ)、コロリーノ、マンモロ
醸造:発酵後、30%はフレンチオークの小樽(バリック)で12ヶ月熟成後、スラヴォニアン産大樽で6ヶ月熟成、70%はスラヴォニアン産大樽で18ヶ月熟成させて
います。その後、短期間ステンレスタンクで寝かせ、約6ヶ月の瓶内熟成を経て出荷。  13.0%
特徴:鮮やかなルビーレッド。ブラックベリー系の果実の香りに、リコリスのようなスパイスの香り。
   まろやかで、シルキータンニンが心地よく、余韻にわずかに残る甘酸っぱさがあり、優美な味わいの赤ワイン。
料理:ジビエのローストや肉のグリル、熟成したペコリーノチーズに合わせる。

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IVS Japan 事務局