2017年2月16日 (木)

2月のLunch Time Tasting レポート

【テーマ】:トスカーナ州のワイン第1弾

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場所:イタリア中西部に位置し、北は、リグーリア州、エミリア・ロマーニャ州、東は、アペニン山脈でマルケ州、ウンブリア州、西は、ティレニア海、南は、ラツィオ州に接している。州都は、フィレンツェ。
変化に富んだ自然に恵まれた風光明媚な州。エトルリア文明が栄えた場所でトスカーナの語源はラテン語のエトルリア人に由来する。主な産業は観光と農業で多くの世界遺産とブドウが栽培されている丘陵の風景は変化に富み、ぶどう畑と共にオリーブ園なども見られる。
イタリアを代表とするワイン生産地で、ワインの歴史は、2000年以上に及ぶ長い歴史があり、昔からそのワインの名声を誇ってきた州である。
赤ワインの生産量が多く、DOC比率が高い。DOCGは11ある。

イタリアの中で最も生産量の多い赤ワイン(サンジョヴェーゼから造る)でチャーミングなデイリーワインでチェリーやスミレの香り、活き活きとした果実味、酸味、タンニンとのバランスが良く、飲み飽きないスタイルの"キャンティ"、クラシコになるとさらに香が高く、酸がしっかりしてミネラルのトーンが出てきてエレガントである。海からの影響でキャンティ地区より温暖なため力強いスタイルの”ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ”、
さらに内陸のため海からの影響がないためキャンティ・クラシコとブルネッロの中間的なスタイルの”ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ”。また、国際品種、新樽小樽熟成等DOC法の規則にとらわれない品質向上のための製法で造られた最高級ワインを造りたいという生産者、ジャコモ・タキス氏、カルロ・フェリーニ氏、ルカ・ダットーマ氏等フランスの醸造技術を知りつくした有名エノロゴが台頭しスーパータスカン(Super Toscana)と呼ばれるVdT(ヴィノ・ダ・ターボラ)やIGTという格付けでありながら、高品質のワインを造った州である。

歴史的には、
1716年 トスカーナ大公コラモ3世が、カルミニャーノ、キャンティ、ポミーノ、ヴァル・ダルノ・ディ・ソプラのワイン産地の境界を定めた。=>世界最初の原産地保障。
1924年 キアンティワインの保護するためにイタリア初のブドウ栽培・ワイン醸造共同組合としてコンソルツィオが創立した。そのトレードマーク「ガッロ・ネロ」(ブラック・ルースタ、黒い雄鶏)
1872年 ベッティーノ リカゾーリ男爵(1800年代2度にわたってイタリア首相を務めた)は、ブロリオ城(Castello di Brolio)において数種類のブドウをブレンド、醸造としては、「ゴヴェルノ方式」でワイン造りを試み、キャンティのレシピは下記の配分であった。
70% サンジョヴェーゼ(方言でサンジョヴェート)、香りと力強さ持つ品種
15% カナイオーロ =>サンジョヴェーゼの硬さを和らげる効果
15% トレビアーノ(後にマルヴァジア ビアンカも) =>熟成を早め、軽やかなワインにする。香がよくため、料理との相性の調整役
 ※ゴヴェルノ方式とは、トスカーナ独特な醸造方法で春に前年の収穫して造った若ワインに半乾燥したブドウ果汁を加え軽い2次発酵を起こして造るワイン。できたワインは、さわやかな酸味を持ち、フレッシュで口当たりの柔らかで、早飲みできるワイン。この方法で造ったワインのラベルに"Governato"と表記できる。

生産地域
【ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ(Vernaccia di San Gimignano)】
シエナ県サンジミニャーノ地区。貴族の権力の象徴として建てられた塔の町サンジミニャーノ(世界遺産)を中心に位置する。
1800年代に貴族がカンティーナを購入後、ワイン造りが始まる。
1993年にトスカーナで一番新しい白ワインのDOCGが誕生した。
同じ名前の葡萄から造られる白ワインで、辛口が基本ですが、甘口のものもあるようです。
ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ90%以上
その他、この県の推奨品種/許可品種の白ブドウ10%まで使用することができます。
(今回の1番目のワイン)

【キャンティ(Chianti)】
アレッツォ県、フィレンツェ県、プラート県、ピストイア県、ピサ県、シエナ県と幅広い丘陵地帯で、夏は高温乾燥、冬は低温湿潤。ワイン造りは、紀元前8-7世紀のエトルリア時代に遡る。1984年にDOCGに昇格した。
辛口の赤ワインの産地です。サンジョヴェーゼという葡萄から造られますが70%~100%以上。他に幾つかの補助品種を15%使っても良いことになっていますが、白ブドウは10%以下です。
キアンティは品質に千差万別があり、ライトタイプのぐいぐい飲めるものから、長期熟成に耐え威厳に満ちたものまで様々です。
最近では品質の向上が著しくそれに呼応する形で生産量も減らし、多くの生産者たちは自分達のワインを差別化するために特定の畑や区域の名前を強調することによって高品質をアピールする方法を取り始めています。
キャンティには、7つのソットゾーンがある。

製造に関して基礎的な話
樽の使い方
大樽:バニラ香はしない。樽香はない。酸化し難い。
小樽:バニラ香がして、アメリカンオークを使用した場合、ナッツ系の香りがする。
   新樽、古樽(樽からのエキスはない)
混醸
・サンジョベーゼ+フランス品種 (今回の3番のワイン)
・サンジョベーゼ+イタリア品種 (今回の2番のワイン)


【キャンティ・クラシコ(Chianti Classico)】
シエナ県、フィレンツェ県で古くからの生産地域に対して、キャンティに包含されていたため1984年にDOCGに昇格、その後、1996年キャンティクラシコエリアがDOCGとして独立した。
1994年サンジョヴェーゼ100%で造ることが認められた。(15%まで他の品種を混醸してもOK)
2006年から白ブドウのブレンドはNGとなり、黒ブドウのみから造る。
(2005年までは白のトレビアーノ・トスカーノ/マルヴァジア・デル・キャンティを6%の混醸が認められていた)
2010年からキアンティ・クラシコエリアでキャンティを造ることは禁止された。
土壌は、多様で地区により様々な個性のあるワインが生まれる。

キャンティ・クラシコの種別
アンナータ(Annata):最低熟成12ヶ月 最低アルコール12.5% (今回の4番目のワイン)
リゼルヴァ(Riserva):最低熟成24か月 最低アルコール13.0% (今回の5番目のワイン)
グランセレツィオーネ(Gran Selezione):30か月以上熟成 アルコール13.5%

  =>卓越した個性を持ち、単一畑または、最良区画から優れたブドウを選果する。
    サンジョベーゼ80%以上使用で1社から複数ワインが出せる。
    2013年時点33社から2015年4月には、100社以上になった。

キアンティ・クラシコには、9つのコムーネがある。
フィレンツェ県
1.San Casciano in Val di Pesa サン・カッシャーノ・ヴァル・ディ・ペーザ
 標高310m 面積108平方Km
 砂利を多く含む赤色の粘土質
 適度な硬質の酸とタンニン、強いミネラル感が特徴的

2.Tavarnelle Val di Pesa タヴァルネッレ・ヴァル・ディ・ペーザ
 標高378m 面積56平方Km
 粘土石灰質土壌
 スパイシーでミネラルが多く感じられる

3.Barberino Val d'Elsa バルベリーノ・ヴァル・デルザ
 標高373m 面積65平方Km
 粘土石灰質土壌 泥灰質
 適度な硬質の酸とタンニン、強いミネラル感が特徴的

4.Greve in chianti グレーヴェ・イン・キャンンティ
 標高236m 面積169平方Km
 礫、砂質、石灰質土壌 沖積土で小石が多く粘土を含む
 繊細で綺麗な酸味、滑らかな舌触りでまろやかなタンニン

シエナ県
5.Poggibonsi ポッジボンシ (メリーニ)
 標高116m 面積70平方Km
 石灰を含む泥炭土、粘土からなる土壌
 軽やかで爽やかな酸味とジューシーな果実味

6.Castellina in Chianti カステッリーナ・イン・キャンティ
 標高578m 面積99.5平方Km
 岩が多く石灰岩質 石岩質
 ミネラル・タンニンが溶け込んだ、際立つ洗練さ、モダンさ

7.Radda in Chianti ラッダ・イン・キャンティ
 標高530m 面積80平方Km
 石灰質 砂質 粘土質
 柔らかな果実味、スパイス、細かい酸がありバランスが良い

8.Gaiole in Chianti ガイオーレ・イン・キャンティ
 標高360m 面積129平方Km
 石灰質 粘土質 砂質 石が多い
 綺麗な酸と凝縮した果実味、ミネラルが豊富でエレガント

9.Castelnuovo Berardenge カステルヌオーヴォ・ベラルデンガ
 標高351m 面積177平方Km
 石灰質土壌 沖積土壌 粘土質
 優雅さや繊細さを持ちながら、しっかりとしたボディと骨格のある酸味が特徴

今回のワインの生産者
マキャヴェッリ社は、フィレンツェ県のSan Casciano in Val di Pesa
メリーニ社は、シエナ県のPoggibonsi

【本日のワインに合わせるお料理】

Antipasto:(2種盛合せ)

①わかさぎのエスカベッシュツナと白インゲン

②豆のブルスケッタ

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Primo:桜海老とチェリートマトのスパゲッティ マッキアート

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Secondo:鶏もも肉のトマト煮込み"カチャトーラ"

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【ワインリスト】


①ワイン名:ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ 2015 DOCG
メーカー:メリーニ社
産地:トスカーナ州  ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ地区
ブドウ品種:ヴェルナッチャ主体
醸造:ブドウは9月上旬の収穫して、ソフトプレス後、14~16℃でステンレスタンクで発酵 13.0%
   サンジミニャーノの丘陵地帯、標高250~300mに位置するの日当たりの良い畑で石灰を含む砂質土壌。
特徴:緑がかった輝く麦わら色。柑橘系の果実の香、温度が上がるとパイナップルのニュアンスあり、ミネラルを感じる香り。
   果実味と酸とのバランスが取れたエレガントな味わいで塩味を感じ辛口白ワインです。
料理:アンティパスト、シーフード、焼鳥(塩)や豚料理に合わせる

②ワイン名:キアンティ 2015 DOCG
メーカー:メリーニ社
産地:トスカーナ州 キアンティ地区
ブドウ品種:サンジョヴェーゼ・グロッソ、カナイオーロ・ネーロ
醸造:頻繁にルモンタージュをしながら、10日間マセラシオン。ステンレスタンクで熟成後、瓶詰。 12.5%
   シエナとフィレンツェの間にあるキアンティの丘陵地帯にある、海抜350-400mの日当たりの良い畑で石灰岩、泥灰岩、粘土などの多様な土壌。
特徴:輝きのある明るいルビーレッド。ラズベリー、野イチゴ、スミレの香り。
   味わいは心地よいチェリーなどの赤系ベリーのフルーティーさで若干の鉄ぽいミネラルあり、全体的にやわらかく、フレッシュさがアフターテイストまで残り、キアンティらしい軽快な赤ワイン。
料理:肉のソースのパスタ、さっぱりした肉料理に合わせる。

③ワイン名:ネオ・カンパーナ キアンティ・コヴェルノ 2013 DOCG =>ネオ・カンパーナは「新しい鐘」の意味。
メーカー:メリーニ社
産地:トスカーナ州 キアンティ地区
ブドウ品種:サンジョヴェーゼ、メルロー、カベルネ
醸造:収獲したブドウ果を厳選し、一部(約15%)のブドウを21日間かけて陰干しにし、糖度を高めます。残りのブドウはフレッシュなうちに破砕して発酵させます。その後、干しブドウを破砕し少し発酵させたところに、フレッシュなブドウで造ったワインを少しずつ加え、ゆっくりとステンレスタンクで再発酵させます。この「ゴヴェルノ・トスカーナ」という伝統的な手法と完璧な温度管理と現代的な醸造技術を用いて造る。14.0%
土壌は、アルベレーゼと呼ばれる非常に粒が細かくぎっしりと詰まった石灰石の土壌と、ガレストロと呼ばれる砂利もしくは石を含んだ石灰質に富む粘土質土壌
特徴:鮮やかなルビー色。洋ナシ、チェリーやラズベリーの熟した果物、アイリスやスミレのフローラルな香り。
   ゴヴェルノ・トスカーナの製法からくるしっかりとしたボディとなめらかでフルーティな味わい。シャープで調和のとれた赤ワイン。
料理:生ハムやサラミなどの前菜、チーズ、野菜を使ったスープや赤身肉のグリルに合わせる。

④ワイン名:ソラディオ・デル・ターニ キアンティ・クラッシコ 2013 DOCG =>“ソラティオ”はかつてマキャヴェッリの所有地にあった農園の“ターニ”はそのブドウ栽培者の名前。
メーカー:マキャヴェッリ社
産地:トスカーナ州 サン・カシャーノ・イン・ヴァル・ディ・ペーザ キアンティクラシコ地区
ブドウ品種:サンジョヴェーゼ・グロッソ、他
醸造:ブドウは9月から10月にかけて収穫、約2週間頻繁にルモンタージュしながらマセラシオン、フランス産オークの小樽と中樽で1年間熟成させ、ボトリング。瓶内熟成3ヶ月以上。  13.5%
サンタンドレア・イン・ペルクッシーナ近郊の日当たりが良い自社畑で標高300-350m。土壌は、粘土質の石灰土、片岩が混じり。
特徴:ルビーレッド。若干ドライのラズベリーやすみれ、スパイスの感じられる香り。
   豊かな果実味と酸とのバランスがとれ、きめ細かいタンニンとスパイシーさも加わり、余韻には桑の実などが感じられ複雑な味わいの赤ワイン。
料理:ジビエのローストや肉のグリル、ペコリーノチーズに合わせる。

⑤ワイン名:フォンタッレ キアンティ・クラッシコ・リゼルヴァ 2010 DOCG =>“フォンタッレ”(泉)は単一畑の名前。
メーカー:マキャヴェッリ社
産地:トスカーナ州 サン・カシャーノ・イン・ヴァル・ディ・ペーザ キアンティクラシコ地区
ブドウ品種:サンジョヴェーゼ・グロッソ 100%
醸造:ブドウは10月中旬に収穫、20日間ルモンタージュしながらマセラシオンさせ発酵。50%はバリック(小樽)でマロラクティック発酵させ、1年間熟成。残りの50%はフレンチオークの大樽で2年間熟成し、ブレンドしたのちボトリング。瓶熟は最低3ヶ月間。
   フィレンツェ郊外のサンタンドレア・イン・ペルクッシーナにある約26haの畑で標高300メートル。南向きの日当たりの良い斜面で粘土質、石灰土の混成土壌。 15.0%
特徴:濃いルビーレッド。バニラ、レーズン、ブラックベリー、すみれのフローラルな香り。
   熟成からかタンニンもまるくなり骨格のしっかりとした、バランスのとれた味わいで、余韻にもエレガントで熟した果実の香りが残る素晴らし赤ワイン。
料理:牛肉、ジビエ、熟成したチーズに合わせる。

※訂正とお詫び

当日お配りした資料の番号に誤りがございました。トスカーナ州、11個のDOCG名とその地図上の番号を下記に訂正し、お詫び申し上げます。

正誤内容
誤り → 正しい
①  → ③
②  → ①
③  → ④
④  → ②
⑤  → ⑦
⑦  → ⑤
⑧  → ⑩
⑨  → ⑧
⑩  → ⑪
⑪  → ⑨
 

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