2017年1月17日 (火)

1月のLunch Time Tasting レポート

【テーマ】新春を祝う晴れやかなワイン

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スパークリングワインの話

近年、イタリアを含むスパークリングワインはBrut辛口タイプの需要が高く、ドサージュ(残糖)なしのものが男性を中心に人気がでている。
やはり、熟成の長いスパークリングを飲むと熟成からの香りや味わいによって、心が和み、豊かな気持ちにしてくれます。
一方フレッシュな味わいのスパークリングは、気兼ねなく普段に飲める、ちょっと一杯感覚がまたいいです。近年、このタイプのスパークリングが世界で人気を集めています。

イタリアでは、このスパークリングワインをガス圧等の違いでカテゴリ分けしています。ヴィーノ・スプマンテ、ヴィーノ・フリッツァンテ
ガス圧とは
EUの規定ではガス圧の単位は、天気予報でお馴染みの単位バール(Bar)である。
※現在は、バールではなくパスカルですが。(平成4年より、気圧を表すミリバールからヘクトパスカルへ同じ値のため移行した
1バールは、0.986923気圧なので、ほぼ1気圧である。1気圧とは、地球の地表面(標高約0m)で1平方センチメートル(親指の爪)に1kgの物体を乗せた圧力。

「ヴィーノ・スプマンテ」を細かく定義をすると5つに分類される。以下のガス圧は最低ガス圧でいづれの生産者もそれ以上です。
・ヴィーノ・スプマンテ(Vino Spumante(V.S)):ガス圧3バール Alc8.5%以上
・ヴィーノ・スプマンテ ディ クワリタ(Vino Spumante di Qualita(V.S.Q)):ガス圧3バール Alc9.0%以上
・ヴィーノ・スプマンテ ディ クワリタ ア デノミナツィオーネ ディ オリジネ プロテッタ
 (Vino Spumante di Qualita a Denominazion di Origine Protetta(V.S.Q.DOP)):ガス圧3.5バール Alc9.5%以上

さらに、これら3つのタイプに指定の13のアロマティック品種を用いた場合に
・ヴィーノ・スプマンテ ディ クワリタ デル ティーポ アロマティコ(Vino Spumante di Qualita del Tipo Aromatico(V.S.Q.TA))
・ヴィーノ・スプマンテ ディ クワリタ デル ティーポ アロマティコ ア デノミナツィオーネ ディ オリジネ プロテッタ(Vino Spumante di Qualita del Tipo Aromatico a Denominazion di Origine Protetta(V.S.Q.TA DOP))

「ヴィーノ・フリッツァンテ」
・ヴィーノ・フリッツァンテ(Vino Frizzante):ガス圧1~2.5バール Alc7.0%以上


スパークリングワインの製法は、5つの方式がある。
1.メトドクラシコ方式 =フランチャコルタ方式:フランチャコルタを代表とする瓶内二次発酵製法
2.シャルマ方式:アスティやプロセッコを代表とする密閉タンク内二次発酵(アウトクラーベ(圧力式ステンレスタンク)で行う製法でシャルマさんが考案。
3.トランスファー方式:2つの方式の中間の方式として、瓶内二次発酵までした後、動瓶→オリ抜きの工程時に瓶ごと冷却し、密閉加圧されたタンク内に集め、タンクでまとめてオリ抜きし、門出のリキュールを添加、そのまま加圧状態で再び瓶詰めする製法。(一部のゼクトで採用)
4.メトード アンセストラルまたは、メトード リューラル方式:アルコール発酵中のワインを冷却するなどして発酵を減速され、糖分を残して瓶詰めする。そのため、瓶内でアルコール発酵が再び始まり、瓶内で完全にアルコール発酵を終了させる製法。二次発酵ではない。
5.炭酸ガス注入方式:普通に造ったワインを冷却、加圧し、炭酸ガスを直接注入して発泡性を持たせる製法

①プロセッコ
産地は、イタリア北東部のドロミテ山系とアドリア海の間に位置する地域のブドウ畑に限られています。州は、ヴェネト州とフリウリヴェネツィアジュリア州

統計情報
2015年度 プロセッコDOCの製造に関して
ブドウ畑:20,250ha
売上高:17億ユーロ
生産本数:3億5千5百万本
イタリア国内へ30%、輸出70%(ヨーロッパ諸国74%、アメリカ20%、アジアおよびその他6%)
2016年から向こう3年に渡ってその栽培エリアを現在の2万haから2万3千haへ拡大し、生産本数を1億4400万本増やす予定。

DOCGは3つ。
・コネリアーノ(Conegliano  Prosecco)
・コネリアーノ ヴァルドッビアデネ(Conegliano Valdobbiadene Prosecco)
・コッリ アソラーニ(Colli Asolani Prosecco) または アゾロ(Asolo Prosecco)

DOCでプロセッコ ディ XXXXが名乗れるのは、2つ
・トレヴィーゾ =>今回の1番目のワイン
・トリエステ(フリウリ)

2009年にDOCG昇格とDOC Proseccoの誕生に伴って、プロセッコ(Prosecco)というのは、品種種名からワインの呼称名となり、
ぶどう品種はグレーラ(Glera)種に変えることになった

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②フランチャコルタ
イゼオ湖の南2~ 400の丘陵地でブドウ栽培がされ、瓶内二次発酵によって造られるスプマンテ。
Iseo村を境に左側(ミラノに近い側)産地としては、アドロ、エルブスコがあり土壌は、氷堆積土壌。
右側は、モンティチェッリ ブルザーティ(一番標高が高い)、オーメ、グッサーゴがあり土壌は、石灰粘土土壌。
※エルブスコの南の国道4号線隔てたオルファノ山の南斜面は、石灰粘土土壌がある。=>3番目のワイン

「フランチャコルタ」というと3つの意味がある。
1.地域名
2.製法名
3.ワイン名

品種:シヤルドネ種、ピノ・ネーロ種、ピノ・ビアンコ種

③ランブルスコ
ブドウの品種のランブルスコは、亜種が多く、エミリア平野で生育する。すべてがヴィーノ・フリッツァンテである。
1970年代にブームとなるが、それ以前は、職人的な製法で手造るされていて、収穫後、その翌春にボトリングされ、瓶内で再発酵させていた。1970年代以降は、アウトクラーヴェと呼ばれる圧力式タンクが導入され、温度管理のされたタンク内二次発酵で造られるようになると、品質管理がしやすくなった。(シャルマ方式である)
今後は、昔からの職人的な瓶内での発酵のスタイルに回帰した、ニッチな造り手も出てきて注目すべき。
このスパークリングは、プロシュート(生ハム)、サラミ等味の濃い郷土料理とよく合う。

ランブルスコの代表的な亜種
・ランブルスコ・ソルバーラ:モデナの北側が主な産地。
           色調は、ロゼのようなチェリーピンク。
           香は、赤系果実やスミレの香りがあり、繊細でデリケートな香である。
           味わいは、フレッシュな果実のアロマ、はっきりした酸味があり、ボディは中程度から軽め、タンニンは低い。
・ランブルスコ・グラスパロッサ:モデナ中心に栽培されている。
             色調は、濃いルビー。
             香は、フラワリーな香と森の中の低い木の赤い果実の強い芳香がある。
             味わいは、豊富なタンニン、控えめな酸味でしっかりした骨格がある。
・ランブルスコ・サラミーノ:モデナのソルバーラ地区の北側、ポー川に最も近づく平野が中心の生産地区。
           ランブルスコの中では最も栽培面積が大きい。
           キャラクタは、ソルバーラとグラスパロッサの中間。
           色調は、濃いルビー。
           香は、果実の熟した香やフレッシュな花の香り。
           味わいは、酸とストラクチャアのあるタンニンとのバランスがあり、程よいボディ、塩味のミネラルがある。
・ランブルスコ・マエストリ:起源は、パルマといわれている。主にレッジョ・エミリアから西側で栽培されている。
           色調は、黒みのあるやや濃いルビーでスミレ色の反射がある。
           香は、果実や時々フレッシュな花の香り。
           味わいは、比較的骨格がしっかりしていて、タンニンも酸もしっかりある。
           =>4番目のワイン

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【ワインリスト】
①ワイン名:プロセッコ エクストラ ドライ NV DOC
メーカー:レ コンテッセ社
産地:ヴェネト州 コネリアーノの丘
ブドウ品種:グレラ 100%
醸造:ブドウは9月下旬の収穫して、ステンレスタンクで15日間の発酵し、シャルマ方式(圧力式ステンレスタンク)で1~2ヶ月熟成 11.0%
特徴:緑がかった輝く麦わら色。柑橘系果実、白桃、アカシカの花。
   果実味と酸とのバランスがとれたキレのある辛口スプマンテ。
料理:前菜からドルチェまで幅広く利用できる。

②ワイン名:ピノ ロゼ NV IGT
メーカー:レ コンテッセ社
産地:ヴェネト州
ブドウ品種:ピノネロ70% ピノビアンコ30%
醸造:ブドウは8、9月の収穫して、ステンレスタンクで15日間の発酵し、シャルマ方式(圧力式ステンレスタンク)で60~90日間熟成 11.0%
特徴:淡いピンク色。フレッシュなストロベリーやローズの香り。
   辛口で果実味があり、酸とのバランスがとれ、後味に苦みを程よく感じるスプマンテ。
料理:前菜、鶏肉料理、魚介のフリット、生ハムに合わせる。

③ワイン名:フランチャコルタ グラン キュヴェ NV DOCG
メーカー:ボミノ社
産地:ロンバルディア州 エルブスコの南、国道4号線隔てたオルファノ山の南側にあるコッカーリオ村
ブドウ品種:シャルドネ80%、ピノネロ20%
醸造:ブドウは8月10日~25日(例年)手摘みで丁寧に収穫、ステンレスタンクと木樽でアルコール発酵、ステンレスタンクとバリック(約10%)で8ヶ月熟成、瓶にベースワインに酵母と糖が添加され、36か月以上瓶内二次発酵、その後デゴルジュマン(オリ引き)を行い、リリースまで8か月瓶内熟成させる。12.5%
特徴:輝きのあるレモンイエロー。洋ナシ、柑橘系の果実香とナッツの香り、熟成からの焼き菓子やイーストの香り。
   フランチャコルタらしい厳格な骨格を持ち、芳醇な味わいときれいな酸味のバランスが取れたスプマンテ。
料理:魚介類や野菜のアンティ・パスト、リゾット、パルマの生ハム、魚のグリルや豚、鶏肉の料理に合わせる。

④ワイン名:ランブルスコ バーチョ(Bacio) IGT
      サッカー選手の中田英寿がイタリア滞在中にこのワインが気に入り、ラベルデザインに携わり、さらにBacio(キス)という名前を付けた。
メーカー:カンティーナ チェーチ社
産地:エミリア=ロマーニャ州 モデナの北側
ブドウ品種:ランブルスコ マエストリ 100%
醸造:ブドウは10月初旬の10日間で収穫、一次発酵させ、ステンレスタンクで二次発酵させる。  11.5%
特徴:濃い紫がかったルビーレッド。赤系チェリーが中心で甘系スパイスの香り。
   豊かな果実味と酸とのバランスがとれた味わい、きめ細かいタンニンとスパイシーさも加わりバランスのとれた味わいのワイン。
料理:パルマの生ハム、パルメジャーノ・レッジャーノチーズ、中華料理に合わせる。

⑤ワイン名:コンパニア ヴィナイオーリ サレント 2014 IGT
メーカー:アポッローニオ カーサ ヴィニコラ社
産地:プーリア州 レッチェの西側
ブドウ品種:ネグロアマーロ80%、マルヴァジアネーラ20%
醸造:ブドウは9月中旬に収穫、12000lのスラヴォニアの大樽で10日間発酵、20日間のマセラシオン、木樽で3か月熟成。
   土壌は、石灰質、粘土質。 13.0%
特徴:濃いルビーレッド。ブラックベーリー、ドライハーブ、鉄っぽいミネラル、スパイスの香り。
   しっかりとした果実味で芳醇な味わいであり、程よい酸とタンニンでバランスが取れたワイン。
料理:ローストした仔羊肉の料理、肉のトマト煮込みに合わせる。

お食事メニュー 

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 前菜盛り合わせ(鯛・カプレーゼ・生ハムとルコラのシーザーサラダ)

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 ズワイ蟹のパスタ



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 牛スネ肉の赤ワイン煮込み



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