2016年11月22日 (火)

11月のLunch Time Tasting レポート

【テーマ】:マルケ&アブルッツォ州のワイン

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場所:イタリアの中東部に位置する。

【マルケ州】
Marche(マルケ)と言う州名は、ゲルマン語の「辺境」を意味する「Merk」に由来する。
アペニン山脈によって中央から隔離された土地柄故であろう。アペニン山脈とアドリア海に挟まれた穏やかな自然あふれる州でなだらかな丘陵地70%、山岳地帯30%、平野はほとんどない。
気候は、地中海性の温暖な気候に恵まれ、葡萄だけでなく、オリープや穀物(小麦)の産地として知られている。
この州ワインは、日本においては総体的に知名度が低いため、コストパフォーマンスのいいものが多い。
マルケを代表するワインの上級クラスが狙い目である。将来、高くなる可能性が。。。。

【アブルッツォ州】
マルケ州の南に位置し、アペニン山脈とアドリア海の間で比較的南北に長い州であるが、その3分の2が山岳地帯で、残りも丘陵地帯で、平野は殆ど無い。マルケ州と似ているが、アペニン山脈の最も険しい部分にあたり、グラン・サッソ山(2914m)やマイエッラ山(2795m)等2500m超す山脈が連なる。気候は、マルケ同様穏やかな気候だが昼夜の寒暖差が激しい。

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ぶどう品種
ヴェルディッキオ種(白ぶどう):
 マルケ地方に古くからあった品種で、ブドウの色がヴェルデ(緑色)であったことからとスペッキオ(鏡)に由来して、こう呼ばれるようになったと言われている。
 ワインにすると緑がかつた麦藁色で、苦味があり、アーモンドの香りを含み、アロマがあって酸が高く熟成に耐える白ワインになる。
  産地
   海側のVerdicchio dei Castelli di Jesi(カステッリ・ディ・イエージ):ミネラリーでしっかりしたボディのタイプ
   山側のVerdicchio di Matelica(マテリカ):白い花の香り、エレガントであるタイプ
モンテプルチアーノ種(黒ぶどう):
 アブルッツォを中心にイタリアで多く栽培されている。豊かな芳香があり、まろやかでやわらかなタンニンが特徴で果皮が厚くフェノール類が多く、色調は深い。
  産地
   マルケ州のCONERO(コーネロ)は、アンコーナの南の丘陵地帯でコーネロ山の後ろに当たるコーネロ山塊に広がる畑で造られ、アドリア海からの風と強い日差しの影響で力強いフィネスを感じるワインができる。
  ※「ロッソ・コーネロ・リゼルヴア」が、2004年、「コーネロ」と改名しDOCGに昇格した。
   アブルッツォ州のMontepulciano d'Abruzzo(モンテプルチャーノ・ダブルッツォ)は、州全体に及び生産量も多く、品質的にはかなり地域差がある。L'Aquila(ラクイラ県)の渓谷産のぶどうがよいといわれている。

【ノヴェッロ】
 10月30日に解禁になる新酒のこと。

今年の出来(マルケ州 ウマニロンキ社より 10/3時点)は、
ブドウの状態:非常に良い。乾燥して晴れた9月の気候のおかげで、糖度の高すぎない、とても健康なブドウが育った。
気候:夏は涼しく、8月の初めに雨が降ったが、その後は2ヶ月間乾燥が続いた。
ワイン:量・質ともに良い、フレッシュなワインになるだろう。

【本日のワインに合わせるお料理】
Antipasto: 前菜盛り合わせ(モルタデッラ、フリッタータ、フンギのフリット)

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Secondo: 三元豚のワイン煮込み

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【ワインリスト】

①ワイン名:ノヴェッロ・マルケ ジェンマート 2016 IGT  12.0%
メーカー:ウマニロンキ社
産地:マルケ州
ブドウ品種:サンジョヴェーゼ、モンテプルチアーノ、ラクリマ・ディ・モッロ・ダルバ
醸造:手摘み。60%をカルボニック・マセラシオン(12-15日間)。 残りの40%を通常醸造(5日間)。
特徴:紫の色調が強いルビーレッド。カルボニック・マセラシオンの典型的な赤系ベリーのキャンディ香。
若々しい酸とタンニンで軽快な味わいのワイン。
料理:前菜、生ハムやサラミに合わせる。

②ワイン名:ヴェルディッキオ・クラッシコ・イエージ 2015 DOC  12.0%
メーカー:ウマニロンキ社
産地:マルケ州
ブドウ品種:ヴェルディッキオ
醸造:ソフトプレスで搾汁したモストを15日間、温度管理下で発酵させる。その後ステンレスタンクに移して静置し、瓶詰め。
特徴:緑がかった輝くレモンイエロー。フレッシュで柑橘系の果実の香りとミネラルの香り。
酸がきりっとして塩味のミネラルがありヘーゼルナッツのような味わいでアフターにヴェルディッキオの特徴の苦みも感じられるワイン。
料理:魚介を使った前菜、魚介のフリットに合わせる。

③ワイン名:カザル・デイ・セッラ・ヴェルディッキオ 2014 DOC 13.0%
     単一畑“カサル・ディ・セッラ”(丘の上の農家)
メーカー:ウマニロンキ社
産地:マルケ州
ブドウ品種:ヴェルディッキオ
醸造:ブドウ収量を通常のヴェルディッキオ収量の約半分にしてさらに遅摘みしたブドウをソフトプレス。ステンレスタンクで16~18度でアルコール発酵を行う。一部をマロラクティック発酵させ、シュール・リーで約5ヶ月ステンレスタンクで熟成させる。その後数ヶ月瓶内熟成させる。
特徴:レモンイエロー。白桃やリンゴの核果実(種が大きい)の香り。
なめらかな口当たりで果実のふくよかさ、凝縮さに加え塩味のミネラルを感じる味わいのワイン。
料理:バターを使った魚介料理、リゾット、白身肉料理に合わせる。

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④ワイン名:ビアンキ・モンテプルチアーノ・ダブルッツォ 2014 DOC 13.0%
メーカー:ウマニロンキ社
産地:アブルッツォ州
ブドウ品種:モンテプルチアーノ、カベルネ・ソーヴィニョン(僅か)
醸造:厳選したブドウを果皮と共に10日間マセラシオン。マロラクティック発酵後、 オークの大樽で3ヶ月熟成させる。
特徴:青紫がかったルビーレッド。レッドチェリー、スミレ、ハーブの香り。
軽快で透明感のあるフルーティな果実味。なめらかな口当たり、フレッシュな酸と柔らかなタンニンでジューシーな味わいのワイン
料理:ミートソースのパスタ、ピッツァに合わせる。

⑤ワイン名:サン・ロレンツォ ロッソ・コーネロ 2013 DOC 13.5%
     マルケ州の聖人”聖ロレンツォ”に由来の自社畑名
メーカー:ウマニロンキ社
産地:マルケ州
ブドウ品種:モンテプルチアーノ
醸造:ブドウは除梗後、ソフトプレスし、ステンレスタンクで10-12日間マセラシオン。アルコール発酵の後、マロラクティック発酵させる。
半分を5000-8000Lのオーク大樽で、残りの半分をバリック(3-4回目の使用小樽)で約12ヶ月間熟成させる。それらをブレンドしさらに6ヶ月の瓶内熟成させる。
特徴:紫がかったルビーレッド。ダークチェリー、ドライローズ、なめし皮、タバコ、キノコなど熟成香も出始め、複雑な香り。
凝縮した果実味と酸とのバランスがとれた味わい、きめ細かいタンニンで口当たりのよい味わいのワイン。
料理:肉料理、熟成したチーズに合わせる。

⑥ワイン名:クマロ コーネロ・リゼルヴァ 2012 DOCG 14.0%
メーカー:ウマニロンキ社
産地:マルケ州
ブドウ品種:モンテプルチアーノ
醸造:自社畑 “サン・ロレンツォ”で収穫されるブドウの中でも最高のブドウを使用して、アルコール発酵を27℃で10-12日間。続いてマロラクティック発酵を行なう。その後アリエ産とトロンセ産のバリック(小樽:一部新樽)で16ヶ月間熟成させ、最低7ヶ月間瓶内熟成させる。
特徴:ガーネットを帯びたルビーレッド。ダークチェリーのコンポート、黒こしょう、バニラ、たばこ、甘草、シナモン、黒糖など複雑な香り。
凝縮した果実味と酸とのバランスがとれ、シルキーなタンニンを持ち味わいは厳格で、しかしまだ硬い。まだまだ若いワインで飲み頃には時間が必要である。

料理:ビステッカ、ジビエ、熟したチーズ、エスニック料理に合わせる。   (瀬戸)